2015.02.09 - Jimmy Webb Special
Everybody Gets to Go to the Moon Everybody Gets to Go to the Moon
Thelma Houston

Sunshower (Thelma Houston album) (1969)

"アレンジャー"Jimmy Webb の観点から、僕の好きなナンバーを1曲。
Thelma Houston「Everybody Gets to Go to the Moon」。

The 5th Dimension「Up, Up and Away」の延長線にあるような高揚感あるサウンド。力強いリズムに流麗なストリングス、空高く伸びるホーンの調べ。
「Up, Up and Away」は空に舞い上がりましたが、今度は大気圏を突入、
"月"まで行きます。打ち上げ場所はどうやら「MacArthur Park」のようです(笑顔)。

この曲はその後、映画『フレンチ・コネクション』(1972)の冒頭でThe Three Degrees が歌って、少し知られるようになります。


アルバム『Sunshower (Thelma Houston album)』は、全面 Jimmy Webb のプロデュース、アレンジの下、1969年にDunhill Records で作成された Thelma Houston のデビュー・アルバム。
このアルバム、これまで、Johnny Rivers、The 5th Dimension、Richard Harris と Soul City Records/Dunhill Records で続けられてきた Jimmy Webb による全面アルバム・プロデュース作品の最後の作品となります。

Dunhill Records のスタジオに呼び集められたのは、旧知の仲間、The Wrecking Crew の面々。
相変わらず、Jimmy Webb アレンジの下、素晴らしいサウンドを聴かせてくれます。

1曲以外、Jimmy Webb が書いたナンバーでどのナンバーもいい曲。
このアルバムの素晴らしいのは、Thelma Houston のボーカルの力量、The Wrecking Crew の分厚い音にまったく負けていないところ。
さすが Houston 一族のサラブレットです。
遡る Richard Harris ボーカルの2枚のアルバムは正直、ボーカルに難があったことは否めません。

1970年代に入ると、 Jimmy Webb はDunhill Records 周辺から距離をとって、軸足をシンガーソングライター中心に置いて、このサウンド・スタイルから離れていくことになります。
その後、60年代後半に魅せた Jimmy Webb の煌びやかなアレンジメントは影を潜めますが、80年代の終り、「Up, Up and Away」を意識したヒット作「You on My Mind」を収録した Swing Out Sister のセカンド・アルバム『Kaleidoscope World』(1989)では、2曲程、Jimmy Webb がオーケストラ・アレンジを担当。この時はうれしかったです。

Thelma Houston ともその後、アルバム『Breakwater Cat』(1980)でExecutive Producer を担当するなどいい関係が続いたようです。


このアルバムの The Wrecking Crew の主要メンバーを記載しておきます。
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Acoustic Guitar, Electric Guitar– Fred Tackett
Bass– Joe Osborn
Drums, Percussion– Hal Blaine
Electric Guitar– Mike Deasy
Engineer– Armen Steiner
Harpsichord, Organ, Piano– Larry Knechtel



今日の1曲


(富田英伸)




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