2014.01.30 - 追悼大瀧詠一
I Adore Him I Adore Him
The Angels

Single(S-1854) (1963)

大瀧詠一さんのラジオ『Go! Go! Niagara』のデータベースがここcircustown.netのサーバーにアップされました。ファンが待ち望んでいたこの番組の全放送曲目リストは、2012年に増補新版された文藝別冊『大瀧詠一』ですでに公開されていましたが、ネット上で気軽に見られるようになったのは嬉しい限り。コツコツと作業をされたかつみさん、有難うございました! 



今日はその膨大なオンエア曲の中から、The Angelsの「I Adore Him」という曲を紹介したいと思います。なぜこの曲かと言いますと、文藝別冊『大瀧詠一』の曲目リストにはこの曲の邦題も記述されていまして、それが「チョコレート・デイト」となっていたんですね。こんな可愛らしい邦題が付いていたのかと驚いて(まるでPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」みたい!)前から気になっていたんです。もうすぐヴァレンタインデーだし、ちょうど月9で『失恋ショコラティエ』というドラマもやってるし(石原さとみの小悪魔ぶりがヤバい!)、これは今取り上げるべき曲なんじゃないかと(笑)。



しかしなぜ「I Adore Him」が「チョコレート・デイト」となるのでしょう? 歌詞を読んでも“チョコレート”なる単語は一切出てきません。恐らくEddi Hodgesの「コーヒー・デイト」(原題は「Mugmates」)あたりから連想して、日本のレコード会社のディレクターが適当に付けたと推測されますが、当時の邦題に詳しい人がいたら教えて下さい。(曲の夏っぽい印象からすれば「アイスクリーム・デイト」の方が良かったような気もします…) 



「My Boyfriend's Back」のヒットに続くSmashでの第2弾シングル。1963年10月にリリースされ、全米チャート25位を記録しました。曲を書いたのはJan & DeanのJan BerryとArtie Kornfield。Jan Berryが関わっているだけあって、イントロはまるでJan & Deanのヒット曲「Dead Man's Curve」と「I Found A Girl」を足したようなフレーズです。メロディはひたすらドリーミーで、サビのコーラスはThe Marvelettesの「Please Mr. Postman」を彷彿させます。当時2大勢力だったモータウンとサーフィンを合体させた見事な合わせワザで、プロデュースを担当したFeldman, Goldstein & Gottehrerのヒットへの貪欲さが表れています。 



この曲、『Go! Go! Niagara』では1975年8月11日放送の第9回「アルドン、スクリーン・ジェムズ系」という回でオンエアされています。Jan Berryもスクリーン・ジェムズ系のライターだというしっかりとした認識からこの特集に組み込まれていたわけで、1975年という時代を考えれば、大瀧さんの体系認識の的確さには本当に驚かされます。 



ちなみに、大瀧さんの「ハートじかけのオレンジ」には前述した「I Found A Girl」(作曲はP.F. Sloan & Steve Barri)のメロディの一節が出てきますし、「Happy Endで始めよう」ではThe Angelsの「Wow Wow Wee(He's The Boy For Me)!」の雰囲気が色濃く出ているように感じます。やはりこの頃のガール・グループやサーフィン系の曲が、大瀧さんの音楽の重要な側面のひとつだったんだなと改めて思うわけです。


今日の1曲


(高瀬康一)




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