2013.09.16
Guess I'm Dumb Guess I'm Dumb
山下達郎

MELODIES (1983)

(コンサートのネタバレはありませんが戸田公演に触れます)

30年、やばい年月だなと思いました。

メロディーズがリマスター盤として、発表30周年のこの夏再発売されました。私は幸運にも出荷日であるツアー「PERFORMANCE 2013」初日の8月27日に戸田市文化会館で手にする事ができました。同じCDを何度も買い直すのには慣れています(苦笑)が、メロディーズは初の再発なので、私も30年前にアナログを買って以来の2度目の購入になります。

残暑厳しい部屋の中で「クリスマスイブ」を聴きましたが、その印象は30年前と全く変わりません。まりやさんが、クリスマスイブのコーラスを録った日の達郎さんの達成感を語っていましたが、30年前ラジオで宮川泰さんがこのコーラスはすごいとめちゃくちゃ誉めていたのを思い出しました。宮川さんは、達郎さんのラジオが「サタデーソングブック」だったとき、その前の枠の「コーセー歌謡ベストテン」の司会をされていて、そこでの話です。

しかし今回は「Guess I'm Dumb」に驚かされています。うねるコーラス、重厚なブラスとストリングス、そして達郎さんの一人多重演奏に今更ながら圧倒されています。すごいオケだ。この曲は Brian Wilson が全面バックアップして Glen Campbell のシングルとして1965年に発表されたものですが、メロディーズ発売当時は全く知らない曲でした。ぼくがオリジナルの Glen Campbell を聴いたのは、放送だったか、あるいは "Beach Boys The Capitol Years" という7枚組LPだったか。オリジナルのオケは Burt Bacharach 風と評されることもある小粋なブラスの使い方をしていますが、達郎さんのは重厚。さらにヴォーカルは Glen Campbell の朗々さを強化した朗々さ振りでとても合っています。Brian が歌っていたら、歌詞が歌詞ですからもっと内省的になったでしょうけど。

ちなみに、達郎バージョンとオリジナルバージョンの違いは打楽器にもあって、イントロからの達郎さんのティンパニーの連打がオリジナルにはない。これはどうしてそうしたのかなとずっと気になっていましたが、Johnny Wells という人のシングルでティンパニーを使っている(ただし打ち方は違う)。これはかなりレアな盤の様で、英国で少数プレスされた程度のよう。音は youtube にころがっています。自称本人という人がコメントしていて面白いので探してみてください。


ファンとアーチスト、30年もたつとお互い色々あったりします。でも達郎さんの場合はずーっと変わらない。こっちのテンションもしつこいつもりですが、送り手がもっとしつこく変わらない。想い始めて30余年という対象は他にもないわけではありませんが、30年ずーっと聴き続けて、しかもライブも30年ずーっと見続けて、なんにも変わらない、いや、その結束はさらに高まるばかりだという存在は山下達郎をおいて他にはない。達郎さん、たいしたもんだ!19の時に全身で聴いたものが30年経つというのは、これはやばい。なにか非常に4次元越しな感覚になるのです。


ぼくが30年前にメロディーズを手にしたのは、埼玉県和光市のレコード屋さんでしたが、今度は戸田だ。荒川をはさんで隣町であります。城北地区ばんざい(埼玉は違うか?!)

戸田市文化会館でいそいそと新しいメロディーズの会計を済ませた次の瞬間、ペ○トサウンズレコードの店長様にばったり会ってしまいました。浮気はできない。いやいやMさんはそんな了見の人じゃない。「Season's Greetingsは?」とにっこり笑っておっしゃっただけでありました。

(たかはしかつみ)




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