2013.07.05 - Nippon 80s Special
破れたphotograph 破れたphotograph
JIVE

シングル (1984)

JIVEは駒澤大学の軽音楽部フォーク・ソング研究会出身の男性4人組のヴォーカル・グループ。80年代前半、キャンパス・ライフから抜け出てきたような若者たちがオールディーズ風味な曲を歌うのが流行ったりしましたが(C-C-Bの前身、ココナッツボーイズとか)、JIVEもまさにそんな感じだったと思います。ただし、バックアップするスタッフが素晴らし過ぎました。1984年にサザンと同じビクターのインビテーションからリリースされた1stアルバム『First Letter』は、プロデュースに伊藤銀次、アレンジャーには伊藤銀次と国吉良一、作曲陣に杉真理、松尾清憲、伊藤銀次、竹内まりやという豪華さ。彼等の才能に周りがいかに期待していたかが伺われます。

この1stアルバムと同時にリリースされたのが、作詞/秋元康、作曲/杉真理によるデビュー・シングル「破れたphotograph」。サビの跳ねるビート、分厚いコーラスに絡まるブラス・アレンジ、切ないメロディと歌詞……そう、完璧なフォー・シーズンズ・マナーなのです。日本のポップス史の中でフォー・シーズンズにオマージュを捧げた曲ってあんまりなくて、自分の中ではL⇔Rの「Lazy Girl」と高橋ひろの「くちびるがほどけない」と、この「破れたphotograph」が究極の“3大フォー・シーズンズ歌謡”だと勝手に思ってます。

デビュー・アルバム『First Letter』にはこの曲の他にも、ビーチ・ボーイズの「Please Let Me Wonder」っぽい「スターダスト・メモリー」や、サバンナ・バンド歌謡の「シノーラ」、モータウン調の「Kissin' In The Mood」などが収録され、ポップスの幕の内弁当みたいな楽しさが満載です。中古レコード屋で見かけたらぜひゲットを!(というかCD再発激希望)。

ところで先日、隔月でやっている自分の音楽イベント終了後に、見知らぬ女性が突然「JIVEについて何か知ってることがあれば教えて欲しい」と訪ねてきました。そのイベントで前に僕がJIVEの「シノーラ」をかけたことを偶然知ったのだそうです。残念ながら僕はこのデビュー・アルバム以外のことはあまり知らなかったので、正直にそう言うと、残念そうに帰っていきました。その後に気になって調べてみたらJIVEはまだ活動中で、CMやライヴで歌ったり、ヴォーカル・スクールなども開いているようですよ。

今日の1曲


(高瀬康一)




Copyright (c) circustown.net