2013.05.05
フェスティバルホール フェスティバルホール
山下達郎

Live at Festival Hall 2013.5.3-4 (2013)

ドゥー・ワップのBGMと客電が落ち、かたずをのんで待つ僕たちの耳の飛び込んできたのは、シンセによる和音のビートでした。

新しいフェスティバルホールの柿落しとなる、山下達郎公演の感想文です(2013.5.4、2 days の2日目)。

ホールは建て替えられたビルの3階とか4階あたりにあるようです。赤絨毯の長い階段を上ると、ホールのロビーに着きます。開場までの時間を、入口の傍にある名前がなんともな「フェスティバール&ビアホール」で楽しく時間を過ごしました。ホール本体はもぎりからスペースマウンテンみたいなエスカレーターの上にありました。思ったより狭いな、というのが最初の印象。2700のキャパは以前のままの一方今までなかった3階席が設けられると、こだわった修正がされているようです。それにしても品格のあるホールだ。ぼくの新旧通じて初のフェス体験が始まります。

1曲目は「新東京ラプソディー」。ややっと思ったら大阪と歌っているではないか。ひねった新しい大阪への献歌になっています。前半は「僕らの夏の夢」をはさめて「Love Space」「Music Book」「ドリーミング・デイ」「あしおと」「ふたり」とイスから転げ落ちそうな選曲の連続、どよめき混じりの歓声に達郎さんは客を讃え、客が熱く時にやや乱暴に?!応じるの繰り返し。「Love Space」と「ドリーミング・デイ」は高音の難曲の代表とのことで、通常のツアーではできないチャレンジを見せたいという達郎さんに、客はさらに身を乗り出します。しかしホールの音響は拍手が天上から降って来るようだ。ステージ、客席、ホールの一体感。

続いてカバーが2曲。「God Only Knows」は『JOY』と違ってバンドアレンジで。「Groovin'」は還暦記念の60回連続カッティングを客席とライブハウスのスタイルで。アカペラはノーマイクあり、客リクエストに応じたりと大サービス。大サービスといえば大阪。絶品の230円のシメサバとか、飲み屋のラッキョとか、いつかは大阪に住みたいとか、達っあん城北地区を裏切るんか?!と大阪の夜は更けてゆき、ステージはあたかも新築お披露目のホームパーティーに2700人で招かれているよう。そうそう豪華緞帳の紹介というのもしてくれたんだけどいいでしょ。

そしてクリスマスイブがない構成は怒涛の終盤へ。「Dancer」では、モデルとなった高校時代の先輩の思い出を語り、政治・平和という言葉をあえて用いて「希望という名の光」につなげます。大阪こその「Bomber」を決めて「Let's Dance Baby」へ。新フェスのクラッカーは格別で(上柴とおるさんは爆弾でも落ちたのかと書かれてます)よく音が響きます。曲中歌は「スウィート・ホーム大阪」。正やん聴いてるか、と亡くなった桑名正博さんへ歌いかけます。序盤の「ふたり」も佐藤博さんへのオマージュだったのでしょうか。フェスの神様との会話を聞かせてもらっているよう。

アンコールの達郎さんはブルーから真っ黄色のシャツへ衣装替え。久々に聴く「Let's Kiss The Sun」によく合います。トラメガのフェスへの無事帰還も済み、この日はお得な「DOWN TOWN」のオマケもついて、ついに終曲「Your Eyes」にたどり着きました。

今回のライブパンフにフェスティバルホール支配人代理の林敬三氏のあいさつが載っています。

達郎さんから「フェスティバルホールを取り壊すことは、カーネギーホールやパリ・オペラ座を壊すことと同じ、愚挙である」とお叱りを受けました。(中略)2013年1月中旬、新しくなったフェスティバルホールを隅から隅までご覧になられました。お帰りの際に「新しいフェスティバルホールは如何でしょうか?」と、お尋ねしたところ、達郎さんは、ニコッと笑って「やってみるまで、分かりません」と答えられました。(中略)ドキドキワクワクしながら開演を待ちたいと思います。


ああ、大阪うらやまし。

(たかはしかつみ)




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