2013.04.07
Will You Love Me Tomorrow? Will You Love Me Tomorrow?
Carole King

Tapestry (1971)

 音楽の好きな人なら誰でも、いつもそばに手元において、その時々にその音楽に励まされ、癒されたりするアルバムの1枚や2枚は持っているのではないでしょうか。私は、たとえばテナー・サックス奏者の John Coltrane と男性歌手の Johnny Hartmann の『John Coltrane & Johnny Hartmann』がその1枚としてあげられます。そして1971年にリリースされた女性シンガー・シングライター Carole King の『Tapestry』もその1枚です。
 ポップス・ファンの多くの方は、なにをいまさらとおっしゃられるかと思います。あまりにも有名なアルバムで、どの曲をとって素晴らしい歌ばかりです。ただ、ラジオでよく耳にしているもので、既にCDを持っていると思いながら見渡せば、手元にないアルバムの一枚でした。2012年にリリースされた彼女の自作のデモを集めた『The Legendary Demos』を聴いて、『Tapestry』を持っていないことに気付く始末です。

 1曲目の『I Feel The Earth Move』のピアノのイントロから、曲によっては管楽器ほかも入っていますが、ギターにベース、ドラムスのリズム隊をバックに彼女の少しハスキーがかった歌唱を前面に、歌の上手下手を越えて、それぞれの歌の情感が聴く者に自然に伝わってきます。
 中から1曲を絞れませんが、Gerry Goffinとのコンビの時代の名曲の一つの『Will You Love Me Tomorrow?』を取り上げました。今夜のことが明日には変わるかもしれない、その愛が壊れるかもしれない脆さや戸惑いがありながら、明日も愛してくれますかと問わずにいられない切ないラブソングです。
 「Tonight With Words Unspoken/You Say That I'm The Only One/But Will My Heart Be Broken/When The Night Meets The Morning Sun?」
 Gerry Goffin の詩は男性の作ながら、実にシンプルな言葉で切々と迫ってきます。そして Carole King の作るメロディが作詞との相乗効果を生むほど素晴らしいです。
 このアルバムに収められてる「So Far Away」、「You've Got A Friend」、「Tapestry」など、普遍的な歌詞とメロディ、いつまでも愛される、まさに「You've Got A Friend」の歌詞の「Winter, Spring, Summer and Fall/All You Have To Do Is Call/And I'll Be There」ではないですが、聴く者のそばにいて、励まし、癒してくれるアルバム、何度も何度も聴き続けるアルバムと確信します。

 『Tapestry』を持っていないことに気付いて、頭の中でリピートしていたら、幸運なことに某所より『Tapestry』が我が家まで届きました。
 余談ですが、『キャロル・キング自伝/ナチュラル・ウーマン』が河出書房新社から出版されました。

(伊東 潔)




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