2013.02.24 - Love Songs Special
The Greatest Love of All The Greatest Love of All
George Benson

The Greatest (soundtrack) (1977)

 私がホイットニー・ヒューストンを知ったのは、シングル "Saving All My Love For You" でした。エレピのイントロとスケールの大きいバラードはホイットニーの代名詞になります。私が気になったホイットニーのバラードを作曲していたのは、すべて Michael Masser でした。ホイットニーのデビュー盤にマッサーは4曲提供しています。

 Hold Me
 Saving All My Love For You
 All At Once
 The Greatest Love of All

 全部いい曲です。Narada Michael Walden 作の "How Will I Know" と併せて、ホイットニーのデビューアルバムの聴き所を構成しています。今回ラブソング特集ということでマッサーの4曲の歌詞を確認してみたのですが、完璧に4曲4様でわらってしまいました。先日紹介した "Hold Me" こそアツアツのラブソングなのですが、"Saving All My Love For You" は不倫、"All At Once" は失恋、そして今回取り上げる "The Greatest Love of All" は自己愛がテーマになります。

 この自己愛がどこから来たのかに興味を持ちました。


I decided long ago
Never to walk in anyone's shadow
If I fail if I succeed
At least I will live as I believe
No matter what they take from me
They can't take away my dignity
Because the greatest love of all
Is happening to me
I found the greatest love of all inside of me

 当時の私はこの曲のテーマを、女性の自立だと理解していました。「誰かが何かをしようとしても、私の<Dignityそんげん>には何もできやしない。それが最高の愛、私自身の中にある愛」。

 この曲はアルバムとシングルのテイクが当初違っていて、最初のアルバムバージョンは、それ程強いインパクトを与えるものではありませんでした。それがシングルでは、ピアノがエレピに差し替えられ、ホイットニーのボーカルもダイナミックに歌い込めていて、強いシャウト込みで楽曲として完成をみます。楽曲の完成とともに新人歌手が完成されていく様子に興奮していました。この時は、私はこの曲がカバーなことを知りません。(なお、アルバムバージョンは知らぬ間に差し替えられていて、アルバム買ってもアルバムバージョンが入ってないものがあります)


 "The Greatest Love of All" は、1977年に公開されたボクシングチャンピオンのモハメド・アリの自演伝記映画 "The Greatest" の主題曲として発表されました。歌っていたのは George Benson。映画の冒頭タイトルでアリがトレーニングするシーンからつかわれます。


今日の1曲


 アリの生涯に人種の壁の問題が大きく存在していたことは、映画でも多くのシーンをさかれていることでわかります。それゆえ<Dignityそんげん>というテーマは非常によく理解できます。さらにアリが「I am the Greatest」と連呼していたことを考えると、その<Dignity>を<Greatest Loveでっかいあい>と表現した理由がわかります。


 しかしアリの映画の主題歌としてとらえると、冒頭の子どもたちに期待するフレーズに少し不思議です。

I believe that children are our future
Teach them well and let them lead the way

 「子どもたちに教育して、世の中を導いてもらおう。」アリの話しとしては少し変ですよねえ。ここがこの曲に私が女性の自立を感じる所で、ホイットニーの歌唱に信念を与えたように思います。子どもたちへのメッセージが与えられた本当の理由はわかりませんが、作詞家の Linda Creed は作詞当時 闘病中で、その心境がどのように歌詞に働きかけたのか。ホイットニーがこの曲を大ヒットさせるちょうどそのタイミングで彼女はこの世を去ったそうです。自分へのラブソング。モハメド・アリ、ホイットニー、そしてリンダ・クリード、三者の想いが曲をでっかい愛にしています。


 マイケル・マッサーはホイットニーにデビューアルバムの4曲を含め、7曲を提供しています。セカンドアルバムからのシングル "Didn't We Almost Have It All" (1987) も、いい曲でした。マッサーは他にも有名な曲を書いていて、"Touch Me in the Morning" Diana Ross (1973)、"Do You Know Where You're Going To (Theme From Mahogany)" Diana Ross (1975)、"Tonight, I Celebrate My Love" Roberta Flack and Peabo Bryson (1983) などは誰しも口ずさんだことがある曲だと思います。「ドゥユノー」はネスカフェですしね。

 おっと、忘れてならないマッサーの代表曲がありました。「猪木ボンバイエ」。元々 "Ali Bombaye" として、このアリの映画でマッサーが作曲したものです。ホイットニー・ヒューストンとアントニオ猪木の看板の音楽がマッサーのアリ映画の曲だなんて面白いですよね。


オマケの1曲
(たかはしかつみ)




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