2013.01.22
ミッドナイトエクスプローラー ミッドナイトエクスプローラー
サノトモミ

ミッドナイトエクスプローラー (2011)

武蔵小山のCD屋さん「ペット・サウンズ」お薦めの1曲として、以前教えて頂いた曲です。初めて聴いた時は何となく「いいなぁ」と思った程度でしたが、なぜか忘れずにずっと頭の中で鳴っていたので最近になって買ってみたら、アルバム全体が素晴らしかったのでここで取り上げようと思いました。

サノトモミは、クニモンド瀧口のユニット「流線形」のアルバムでヴォーカルを担当して話題になった、北海道出身の女性シンガー。この『ミッドナイトエクスプローラー』は一昨年リリースされたソロ2作目で、オリジナル・ナンバーと日本の70年代のシティ・ポップのカヴァーが収められたアルバムです。シティ・ポップの流れで言うと、例えば90年代の具島直子や2000年代の高田みち子の作品にも通じる雰囲気があるかな。

エレピ、パーカッション、ギター、(ストリングスじゃなくて)シンセなどの音の選び方がいちいち心地良く、その極上なメロウ・サウンドの上にサノトモミの高く透き通った声が乗っかって聴き心地は倍増します。全曲いいのですが、冒頭のタイトル曲がやっぱり最高で、こんなに濃厚に“夜のイメージ”を醸し出してくれる曲もありません。この1曲だけをリピートしながら深夜のドライヴを延々したいくらい。

3曲のカヴァー・センスも素晴らしく、荒井由実の「きっと言える」、大貫妙子の「都会」、そして山本達彦の「夢は波に乗って」が選ばれています。実は本作を買う決め手になったのは、この山本達彦のカヴァーを聴いてみたかったから。東芝EMI時代ではなくフィリップス時代の隠れ名曲を取り上げるセンスに心底驚きましたが、本作のサウンド・メイキングを手掛けた林有三氏は初期の山本達彦バンドでキーボードを務めたこともあるらしく、そこらへんの繋がりでの選曲なのかも。もちろん、原曲のボッサ・テイストを活かした素晴らしいカヴァーでした。

70年代後半から80年代初頭の、“あの頃”の音楽が好きな人にぜひお薦めします。

(YouTubeでの音源が無かったので、試聴ができるサイトにリンクしています↓)


今日の1曲


(高瀬康一)




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