2012.12.31
Good Vibration Good Vibration
The Beach Boys

Smiley Smile (1966)

1966年に『Pet Sounds』を出した余勢を駆ってレコーディングされたのが「Good Vibration」でした。この曲は半年以上の時間と5万ドルの制作費をかけ、4つのスタジオを駆使して90時間以上もの録音テープを残し、試行錯誤の末に丹精を込めて作り上げられました。チェロやテルミンが使われた独創的な曲調とそれまでのロックの概念を大きく覆す構成とを併せ持つ画期的な大作。それまでの彼らの曲調からするととても難解なこの曲が、全米No1を獲得しその後のロック史に燦然と輝く金字塔となったのです。
こういう曲でもちゃんと1位を獲得するというところがアメリカのチャートの面白いところです。

さて、この曲の誕生の裏には天才Brian Wilsonと鬼才Van Dyke Parksとの邂逅がありました。チェロを使うように勧めたのもVan Dykeと言われ、この曲が持つ不思議な佇まいにはVan Dykeの存在が大きく影響しているのではないかと思われます。
才能あふれる二人の出会いと、Mike Loveが持ち込んだ"素敵なバイブレーション"というモチーフが見事に融合して化学反応を起こし、この奇跡のような曲が生まれたのでした。

今年の夏、Beach Boysの来日コンサートでこの曲を初めて生で聴く僥倖に恵まれました。この曲がこの世に出てから46年の時間を経てブライアンとマイクが同じステージに立つライブで聴く初めての生の「Good Vibration」。
それは同時代を一緒に生きてきたことの歓びを感じた一瞬でもありました。
この夏の忘れられない想い出です。

今年circustown.netは6年ぶりに復活しました。そしてこの半年あまりの間に70本を超えるレヴューを紹介してきました。驚異のハイペース!(笑)
それぞれがそれぞれの音楽体験のバックボーンを持って再び集まってみると、図らずもそれぞれの個性が相まってバラエティに富んだレヴューが並びました。これぞまさにグッド・バイブレーション!
ささやかながら素敵なバイブレーションを生み出すために僕たちも再び邂逅したのでした。

かつてBeach Boysが作り上げたこの「Good Vibration」は"ポケット・シンフォニー"と名付けられました。ロックの持つわずか数分の魔法のような刹那。
僕たちはこの魔法のような一瞬のシンフォニーの感動と魅力を信じてまた来年もマイペースで"Good Vibration"を紹介していけたらと思っています。



今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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