2012.11.17
Here We Go Again (Parts 1&2) Here We Go Again (Parts 1&2)
The Isley Brothers

Go All The Way (1980)

晩秋のこの季節。家にこもって音楽を聴く時間が長くなってきたように思います。

そんなわけでまたまた再び、秋の夜長のスウィート・ソウル。
しかし何を持ってスウィート・ソウルというのでしょうか。
スウィート・ソウルというと、先刻来取り上げている"Atlantic R&B Best Collection 1000"でも再発されているArthur Conleyの67年のアルバム『Sweet Soul Music』が思い浮かぶのですが、音楽評論家の鈴木啓志さんによると、ここでいうスウィートというのは"純粋で混じりけのないソウル"を意味しているのだそう。
日本ではファルセット・ヴォーカルを駆使した甘いコーラス・スタイルを指していますが、それは文字通りの甘いソウルということであってサザン・ソウルなどではスウィートというのは"純粋さ"を表している言葉なのだそうで、ファルセット中心でなくても甘さの中に"ソウル"が感じられるものこそが"スウィート・ソウル"だとおっしゃっています。なるほど。

そんな定義を踏まえると、聴く側がスウィートだと感じればそれはそれで十分にスウィートだなと。もちろん甘いのだけど、甘さだけではない純粋なソウルという意味で取り上げるなら、僕は『3+3』以降の70〜80年代のThe Isley Brothersを迷わず選びたいと思います。
バラードに限らずミディアムもファンク・チューンもどこかに艶めかしさがあってウェットで、これこそまさにスウィート。

80年代の彼らのアルバムは今ひとつ評価が低いような気がするのだけど、"どこを切ってもアイズレー"なワンパターンが一種の中毒みたいになって、一度聴き始めると延々と聴き続けてしまいます。ファンクとロックのニッチなところ。
この揺らぐ感覚・・・。間というのかタメというのか、一言で言うとグルーヴってことになるんだろうけど、言葉ではなんとも表現し難いゆらぎの世界にもう理屈抜きに身を委ねたいと思います。めちゃくちゃセクシーでかっこいいわ〜。

「Go All The Way」や「Say You Will」など冒頭から聴きどころの多いアルバムだと思うのですが、最近まで日本ではCD化されていませんでした。特にこの頃のアイズレーは日本での評価が今ひとつだったようです。
この「Here We Go Again」はChris Jasperの作品で、彼の洒落たセンスのメロディーにRonald Isleyの濡れた声が被さる感じはこの頃のアイズレーのセルフ・コンテインド・グループとしての真骨頂という気がします。スローなファルセットのバラードというのではないのですが僕にとってはとてもスウィートな曲。特にエンディングまで続くリフのパターンは都会的で官能的。フェイドアウトの果てにさらに「Don't Say Goodnight」へと続く流れはそのまま『Between The Sheets』ヘと繋がっていく確かな流れがあります。

深まる秋の夜更けに聴くIsley Brothersはとても官能的です。


今日の1曲


(Kazumasa Wakimoto)




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