2012.11.06
あした天気になあれ あした天気になあれ
加川良

アウト・オブ・マインド (1974)

ベルウッドの再発と佐藤博さんの影響で、すっかり関西フォークの世界から出られなくなってしまった。

加川良。「青くなって しりごみなさい 逃げなさい 隠れなさい」(教訓 I)の人である。このアルバムは1974年11月発表、加川がURCからベルウッドに移籍しての最初の作品で通算4作目。フォークとカントリーとロックが当時の最高の演奏で記録された傑作である。「髪の毛を短くし髭をたくわえ、それまでの重苦しいフォークのイメージを覆す」と、2012年再発のこのライナーノーツにある。私が知っている、最近の加川良のイメージはこの時からなのか。健康で逞しく腰の低いフォークのおっちゃんだ。

「あした天気になあれ」は3連のロッカバラード。村上律のペダルスティールと佐藤博のピアノの伴奏が曲をつくり、サビは女声も含んだ合唱。特に佐藤の高音がポロンポロンと輝く指さばきはナッシュビルの音、Floyd Cramer かと思う。本当に美しいフレーズと音色。歌われる世界はロードソング、旅と大地。

アルバムは「あした天気に…」などのカントリーロッカバラードと、Eric Anderson ばりのスリーフィンガーのフォークソング、それにオリジナル・ザ・ディランの流れをくむブルースチューンから構成される。捨て曲がない。渾身のブルースバンドは鈴木茂と後のハックルバックトリオとなる林敏明(Ds)、田中章弘(Bs)、佐藤博(Key)。ただしハックルバックメンバーの演奏はとんでもないものだが、迫力系は2曲限定。全体を流れるカントリー味と加川良の歌唱を中心に楽しむアルバムだ。なお、アルバムをサポートするメンバーの魅力は書ききれないが、ここの読者の多くが大変お世話になっている処の末永博嗣さんもハーモニカで色を添えている。

くりかえすが、村上律のペダルスティールと佐藤博のピアノと加川良のヴォーカルがいい。しかしこの曲が終わると、何故か次曲で高田渡が歌いだすのだが・・・



今日の1曲


(たかはしかつみ)




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