2012.10.27
Spanish Harlem Spanish Harlem
Ben E. King

Atlantic Rhythm & Blues 1947-1974 -Japanese Edition- 2012 (1960)

Spanish Harlem
Stand By Me
Young Boy Blues

この3曲が録音されたのは1960年10月27日。なんと52年前のちょうど今日のこと。場所はニューヨーク、プロデュースは Jerry Leiber & Mike Stoller。この一晩のセッションの3曲は、順にヒットチャートをにぎわし、"Stand By Me" はポップスの歴史となりました。

"Spanish Harlem" は、貧民街に咲いた一本のバラの花に例えられる一人の女性への想いを歌った曲(はきだめのツル子さん?)。木琴とトライアングルのリズムで始まるイントロ、ひかえめながら輝くベンのヴォーカル、厚く聴こえるコーラス、華麗な間奏のオーケストレーション。Phil Spector が書いたとされる大変ロマンティックな曲の興奮は、ベンがBメロで3連符を決めるあたりで最高潮に達します。

9月の東京フォーラムの東京ジャズ2012公演で、ベンは村田陽一の16名編成のビッグバンドをバックに約10曲を歌いました。セットリストはジャズやR&Bスタンダードにベン自身のアトランティック・クラシックスが4曲の構成。その中で最初に演奏されたクラシックスが "Spanish Harlem"、これに私はノックアウトされてしまいました。ベンは思ったより低い声でぼそぼそしゃべるのですが(トークいい人感満載)、曲の要所要所ではしっかりメロディーのツボに声を当て歌います。マイクが遠いのも驚きです(声はおそらくでかい)。クラシックスは序盤に "Spanish Harlem" と "This Magic Moment" (The Drifters) の2曲をたたみかけ、終盤に "Save The Last Dance For Me" (The Drifters)、オーラスの "Stand By Me" では曲中会場に "You're My Sunshine" のサビを重ねさせる無茶振りで楽しませてくれました。

(備忘)しつこいですが NHK FM『大瀧詠一のアメリカン・ポップス伝2012パート2』の感想の続き。第四夜(2012.8.30 24:00 - 24:50 放送)はリーバ=ストーラーの特集でもありました。売れなかったリーバ=ストーラーがようやくアトランティックで成功をつかみ、エルビスでさらに成功し(そのせいでロスに幽閉?される)、ニューヨークに戻り、そしてドリフターズやベンEキングらと珠玉の名作への一連の流れが物語られました。1960年10月27日の奇跡のセッション現場にスペクターもいたのでしょうか?いたのでしょうね。そして私が1980年に山下達郎 "On The Street Corner" でこの曲に出会うのは、言うまでもありません。


今日の1曲


(たかはしかつみ)




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