2012.09.29
悲しみのJody 悲しみのJody
山下達郎

MELODIES (ALFA MOON/Moon Moon-28008) (1983)

 ドラムのイントロ。これだけで当時の空気がかえってきます。

 私は高校入学即ライドオンタイム洗礼の世代で、「For You」でぐっと来て、《俺の達郎、待ったぜ新譜》と感じて手にした初めてのアルバムが「メロディーズ」。発売はなんと自分の誕生日。初夏に初秋の浜辺?とか、クリスマスとか、そんな事感じることもなく、楽曲に圧倒され、全てを自然に受け入れていました。

 大学に入ると自分もバンドをしますが、バンマスが私に「Jody」を歌えという。彼はおかしな人間で、ファルセットばかり私に歌わせる。"Easy Lover" という当時のヒットのカバーでは、私が Phillip Bailey(裏声)、女性vo.が Phil Collins(地声)というおかしなこともしていました。歌ってつくづく知るのでしたが、達郎さんのファルセットはおかしい。地声と裏声の切れ目がない、裏声に芯がある。しかも曲の内容にふさわしい叙情を込めて…

 アウトロのドラムまで、一瞬の無駄もありません。

(たかはしかつみ)




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