2012.09.15
Don't Go Breaking My Heart Don't Go Breaking My Heart
鈴木祥子

Shoko Suzuki Sings Bacharach & David (1994)

 私が初めて聞いた Bacharach-David の歌はなんだろうと述懐すると(勿論、洋楽好きの中学生の当時、その歌の作詞者・作曲者を知る由もありません)、1968年にヒットした Dionne Warwick の「サンホセへの道」、Aretha Franklin の「小さな願い」ではないでしょうか。前者はボンボンとリズムに乗って、テンポよく「Do You Know The Way To San Jose?」のフレイズが覚えやすく、ラジオから流れてくる歌に合わせて、中学生でも口ずさめたものです。後者は、Aretha Franklin としてはそれまでの歌と違う印象を受けた記憶があり、女性コーラスをバックにゴスペル風な歌に聞こえました。ディオンヌとアレサと、今思えば、対照的な持ち味の歌手が Bacharach-David の歌を歌っていたんだなぁと思います。閑話休題、思い出話はここまでにします。


 今回、取り上げるのは、1994年に女性シンガー・ソングライターの鈴木祥子(最近、鈴木しょうこに改名)の初のカバーアルバム「Shoko Suzuki Sings Bacharach & David」の中の「Don't Go Breaking My Heart」です。

 このアルバムは、彼女の好きな Bacharach-David の歌を4曲選び(ほかに「This Girl's In Love With You」(「青空のかなた」と題名を変えて彼女の書いた日本語詞で歌われてます)、「I Say A Little Prayer」、「Make It Easy On Yourself」)、そして彼女の好きなアメリカのシンガーソングライターの録音に参加しているスタジオ・ミュージシャン(Rick Marotta、Leland Sklar、Fred Tackett、Bill Payneら)を迎えて、LAで録音されました。少しボサノバの香りを感じさせ、そして、シンプルな音づくり。ギターのイントロから、彼女の歌う「La La La Don't Go Breaking My Heart」のフレイズ、そして、「One Drop Of Rain〜/One Falling Leaf〜/One Say Goodbye〜」のそれぞれの詩句から切ない情景を思い描かせるラブソング。

 彼女の歌唱が聴く者を柔らかく包み込むようで、心地よく、耳に残るカバーに仕上がっています。二つの声を重ねた暖かい歌唱から、それが生み出される一面なのかもしれません。

 余談ですが、この Bacharach & David のカバー集の後、Barry Mann & Cynthia Weil、Carole King & Gerry Goffin のカバー集も計画されましたが、実現されなかったのはファンとしてもとても残念です。

(伊東 潔)




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