2012.09.02
The Train Kept A Rollin' The Train Kept A Rollin'
Johnny Burnette & The Rock'n'Roll Trio

(1956)

今日のSSBの棚つかのロックンロール3連発を楽しく聴きました。Nazz → Johnny Burnette → Small Facesとかかりましたが、Johnny Burnette の The Train Kept A Rollin' の話しです。

この曲は暴力的なギターのリフが非常に印象的な曲で、山下達郎も番組中でその一節を弾いていました。1966年に Jeff Beck の The Yardbirds がカバーしたので「我々の世代はみんな練習をした」とのこと。放送でかかったのは、このリフの《オリジナル》であるところのジョニー・バーネットのバージョンです。「今のバンドと比べても少しもひけをとらない」。しかしバーネットのはヒットしなかったんですね。

ここからまたもや数日前に書いた『大瀧詠一のアメリカン・ポップス伝2012パート2』の話しです。この第一夜でも、大瀧詠一は同じバーネットのバージョンをかけました。1週間の内に、大瀧さんと達郎さんが続けて放送しているわけです。バーネットはエルビスの一つ年上で、しかもエルビスの身近にいた人だそうで、エルビスに触発されてロックンロール誕生の扉に手をかけた。しかし、このすごい音を残しているものの、当時は成功に恵まれませんでした。

このリフはジョニー・バーネット・トリオの発明です。弾いているのはトリオの Paul Burlison なのか、あるいはナッシュビルのスタジオミュージシャン Grady Martin(Roy Orbison のプリティーウーマンのイントロのギタリスト)なのか?オリジナルは 1951年の Tiny Bradshow の曲。勢いに乗って歌われるリズム&ブルースの曲で、そこにロックな攻撃性を感じることはできません。大瀧詠一は、ギターリフの探求がロックの誕生であり、ジョニー・バーネットのこのカバーが60年代にイギリスで再発見されると語っています。バーネットのリフの攻撃性だけでなく、ディストーションのかかった音も当時の耳に新鮮に感じたのではないかと想像されます。

50年代初頭のブルースがロック誕生にもまれ、それが(70年代の)ハードロックまで続いていくという、非常に面白い話しでした。

この曲のヤードバーズのカバーには「ブギウギ列車夜行便」という邦題がついていたそう。山下達郎との関係において非常に面白いですね。一方大瀧詠一は、今週の放送ばかりでなく、坂本龍一との書籍「コモンズスコラ(ロックへの道)」でもこの曲を取り上げています(「イギリス的なハードロックの源流がこの辺にあると感じる」)。今日の放送は、それへのSSBからの回答なのか、はたまた偶然のことなのか、非常に面白いですね。

オリジナル (1951)
今日の1曲 (1956)
ヤードバーズ (1966)

(たかはしかつみ)




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