2012.07.01
Best Friends, Right?
Amy Winehouse

Lioness : Hidden Treasures (2011)

極太のアイライン。肌を彩るカラフルなタトゥ。
彼女にとって、お化粧やタトゥは生きて行くための鎧兜だったのかしら。

『Lioness : Hidden Treasures』。
アルコール、ドラッグ、差別発言などなど、早逝したミュージシャンの共通項のようなものをやり尽し、昨年7月に27歳で亡くなったAmy Winehouseのサードアルバムです。遺作と言ってもよいのかな。
未発表曲と新曲を織り交ぜたトリビュートアルバムで、いろいろなテイストの曲が入っているし、『A Song For You』、『イパネマの娘』などの有名曲も入っているので、彼女の歌をあまり知らなくても十分楽しめると思います。
歌唱については文句なく、素晴らしいです。ジャジーでソウルフルでちょいと蓮っ葉で、20代とは思えない堂々たるパフォーマンスです。いつの時代の歌手なのかと勘ぐってしまうほどの、自分の世代にはチョー懐かしい、モータウンの雰囲気を味わえるアルバムになっています。
どの曲も個性的で甲乙つけがたく、最後の録音となったTony Bennetとのデュエット『Body And Soul』とか多くのミュージシャンにカバーされている『Our Day Will Come』とか、聴いていただきたい曲ばかりなのですが、個人的に耳たこ状態で頭から離れないのが10曲目の『Best Friends, Right?』。
コード進行が素敵すぎる! 歌唱だけでなく、ソングライティングの才にも長けていることがよくわかります(歌詞は麻薬がらみだったりするけど)。いい曲ですよ、本当に。
このアルバムに収められているバージョンはテンポが速めなのですが、ギター1本でゆったり歌っているバージョンがyoutubeにありました。最後に貼っておきますので、御一聴くださいませ! 泣けちゃいます。
彼女のライブパフォーマンスを観ると、姉御みたいに堂々としてるんだけど、ときどきチャーミングな表情もあったりして、思わずあの極太アイラインに隠れた一面を窺いたくなります。日々、生き辛かったんじゃないかなあ、とか、本当は気の小さい、寂しがりな人だったんじゃないかしら、なんて。余計なお世話ですね。
ジミヘン、ジャニス、ジム・モリソンなど27歳で亡くなったミュージシャンが他にもいるのは有名ですが、天才、鬼才、破天荒、なんて形容詞でまとめられて語られるのはきっと全員「やなこった」と鼻で笑うでしょう。でも彼ら同様Amyも、今後長く惜しまれ、長く聴き続けられるミュージシャンであることは間違いありません。本当に惜しい人を亡くしました。Rest in peace, Amy.

今日の1曲

(MN)




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