2002/2/17 Sunday Song Book「山下達郎 RCA/Air Years 特集(3)」 山下達郎/Loveland, Island 1982『For You』, 2002 Single *1 山下達郎/Morning Glory 1982『For You』*1 山下達郎/Paper Doll 1978『Go Ahead!』*1 山下達郎/言えなかった言葉を 1977『Spacy』*1 山下達郎/Rainy Day 1980『Ride On Time』*1 山下達郎/Sunshine(愛の金色) (LIVE) 2002/2/20発売予定『The RCA/Air Years LP Box 1976-1982』*2 山下達郎/Bomber 1980『Come Along』*3 *1 2002年デジタルリマスター盤。 *2 アナログボーナスディスク収録。LPボックスのみのボーナストラック。 1980/5(/3?) 生まれて初めての中野サンプラザでのライブ。 *3 小林克也のDJ入り。1979年当時はプロモ用だったが後にカセットとして発売。 Airリマスター7W全部を購入した人全員にプレゼントされるリマスター盤より。 内容 ・チケット先行発売について Q:ライブチケットの発売の方法ですが、発売日当日に電話をしても繋がったため しがありません。明らかに転売目的の者が介入しているようで、発売日の午後 にはネット・オークションに出品されていて、取引が行われています。達郎さ んが好きで心から本当にライブを楽しみたい者にとっては迷惑この上ありませ ん。結局一般発売でチケットを入手することができない者はこのような形で高 額なチケットを入手しなければならないのでしょうか。達郎さんはいかがお考 えでしょうか。 「私はいわゆるアリーナクラスのライブ、横浜アリーナとか武道館とかそういう ところではやらない人間なので、いきおい公演回数の割には発券枚数が少なくな る。結果、こういう風に行きたくても行けないというお叱りをいつもいただいて おります。最近はいわゆるネットの業者というのが凄い数でして、ヤフー・オー クションとか見ていて愕然とします。次のツアーからもう、ああいうローソン・ チケットとかやめようかなと思って、本気で考えております。ああいうローソン ・チケットとかチケットぴあとか、いわゆる先行発売が一般発売の前になんで先 行発売するのかなとずっと疑問に思っていたんですけど。要するにプロモーショ ンなんですよね。そうやって先行発売すると前盛り上がりというか広告が先行し て出るんでそれでプロモーションになるという。僕がRCA/Airの時代にライブを やっていた頃は全部現金書留でして、現金書留先着、じゃなきゃプレイガイドで 並ぶ。先着で恨みっこなしという感じでございます。僕に限らずほとんどのミュ ージシャンの人がそういう目にあっておりまして、イベンターの人もなんとかし なきゃなんないと思っているんですけど、なかなかこういうメディアの発達に追 いつかないという現状であります。今回は本当に結果論でして仕方がないんです が、最も消極的な方法ですがそのためにファンクラブを作っています。ファンク ラブではチケット優待というのがありますので、それで一人一回だけはご覧にな れるシステムを十年前にしょうがないかなという感じで考えました。それでもフ ァンクラブもあまり大きくなりますとオーバーフローしますので、現に東京公演 がファンクラブの予約の方だけでオーバーフローして、ファンクラブの方にもお 叱りをいただいたり、いろんなことがありますが。でも本音をいいますと50代ま でこんなお客さんがくるなんて思ってなかったんですよ、全く(笑)。もう偽ら ざる本音です。ありがたいことなんですけど、困っちゃったなという感じでござ いまして。ネクストタイムはもうちょっと改善していきたいなんて思っておりま す。やっぱりメディアの発達というのは凄いですね。発売日の翌日に金券ショッ プに並んでますからね。いやー、恐ろしい時代です。結局何の答えにもなってお りませんが、すみません。」 ・リマスター盤の音圧について Q:「Loveland, Island」の音圧が低いのは何故でしょうか?いつも番組で最近の ヒット曲に負けないように古い曲をリマスターしているとおっしゃってますが 、今回のこのシングルは他の同日発売されたシングルに比べて音が小さいです 。達郎さんにとってこれはベストな状態なのでしょうか?私はCD店に勤めて いて、新譜入荷日にはシングルを店頭演奏用に一枚のMDにまとめて流していま す。達郎さんのだけ音圧が低いので迫力がなく目立ちません。非常に勿体無い と思われます。アルバムも同様な音圧なのでしょうか。クレームの様に聞こえ ますが、達郎さんの曲の良さを一人でも多くのお客様に知ってもらいたいから 一心からです。 「大変いい質問です。これについて話し始めると一時間でも講演ができますので ほんの掻い摘んだことのみ。デジタルすなわちCDが生まれた80年代当初、デジタ ルはアナログに比べてノイズは無いし、何十回何百回聞いても音が劣化しないな どの利点がありますが、その反面、それまでのアナログは歪みという音がつぶれ るのがあったのでそれがロックンロールの根性や突進感をすごく生んでいたが、 それがデジタルではすごく薄れた分、ロックの生命である音の根性や、我々が普 段音圧とかガッツと呼んでいる突進感がなかなか出難くなってしまった。欧米で はまだほとんどがアナログレコーディングという現状ですけど、それは経済的な 理由もあるが、ロックとしての音のガッツを容易に得るのにアナログの方が有利 だという要素も大いにある。一般的にCDに入れる音の大きさというのは、上げれ ば上げるほどどんどんロックっぽくグーっとなっていくんですけど、デジタルの 場合はクリッピングという現象が起こりまして、音の波形が切り捨てられまして 、非常に聞き苦しい濁った音になります。ところがここ数年間のうちにクリッピ ングを防ぐ技術が非常に発達しまして、その結果いくらでも大きい音でCDに焼き こむことができるようになってしまいました。ラジオやTV、CMや音楽のオンエア というところで他の物より迫力を出そうという競争に勝つために、少しでも大き なレベルでCDを作る、大きな音でCDに入れる。それをレベル競争といいましたが 今やそれを通り越してレベル戦争。音楽の質に関係なくて大きければ正義だとい う馬鹿みたいな時代が延々と続いています。CDに焼きこむ音の大きさを上げれば 上げるほど音はどんどん前に出てきまして、仕舞いには全て顔の前に張り付いて いるような音像になります。私はこういうような風潮に凄く疑問を持っておりま して、自分の作品は少なくとも音楽としてちゃんと成立するように、ちゃんと奥 行きと繊細さがあるマスタリングをする方式でずーっとやっております。しかし ながら昨今のJ-Popと呼ばれる音楽は音楽的必然性とは関係なくただ音がでかけ ればいい。これは120倍激辛カレーと同じで、音楽じゃなくて刺激物と化していく 。そういうものとは根本的に考え方が違うので。特に今回は旧譜の再発なので、 一番デジタルマスタリングで留意したところは、アナログの音像をそのまま、奥 行きとか抜けとかをそのままCDでクオリティアップでやりたいという思想で特に 作っております。それを一般的にオーディオを好きな人から「なんだこれ、音ち っちゃいじゃないか」といわれたらゴメンなさいとしか言えません。これは思想 信条の問題でして、技術的問題とは全然違います。心あるマスタリングエンジニ アの方々は皆J-Popの現状を嘆かわしく思っております。本当に舌足らずで御免 なさい。でも本当にいいお便りをいただきました。いただかなればこういうメン ションをすることもなかったので。」 ・RCA/Airリマスター盤発売記念プレゼント (1)カレンダー20名 表紙が「Loveland, Island」で、中身は『Circus Town』から『For You』まで のパッケージ。アナログアルバムサイズ。2002年2月から来年の2月までのカレン ダー。 (2)ポスター20名 鈴木英人氏デザイン「Loveland, Island」のジャケットのポスター (3)プロモCD10名 7枚のダイジェストCD。『Greatest Hits!』とは選曲が違う。 (1)〜(3)はすべてサイン入り。 ・ボナペティワイン&歌詞カードプレゼントの件 3月一週に当選者発表の予定だが、その時にDavid Gates特集があると流動的。 「すみません。忙しいんです(笑)。」 今後の予定 ・2/24はツアー前夜祭ということで「山下達郎Live特集」RCA時代の音源より。 ・「David Gates特集」は3月持ち越し。2週間ほど予定。 ・夏になったらBruce Johnstonの特集を。 ・ツアー期間中は「ヒストリー・オブ・山下達郎」を予定。