Counting Crows

Big Yellow Taxi

2002 " Hard Candy " Geffen/493-368-2/CD





 カバー曲を聴くことの面白さ,醍醐味といったら何でしょうか。その歌手,バンドの尊敬する歌手,バンドへのオマージュの濃淡がひとつでしょうが,前,このレヴューで取り上げたRay Stevensの「Misty」でも触れた「アレンジの妙」というものもカバー曲を聞く際の面白さや醍醐味ではないでしょうか。


 Counting Crowsは,1993年,「August And Everything After」というアルバムでデヴュー(私がリアルタイムで聞き始めたのは,'99年の「Desert Life」からなんです),その後,この今の時点での最新作「Hard Candy」まで5枚のアルバム(ベスト盤1枚あり)をリリースしているアメリカのロック・バンドです(この作品ではメンバーが7人)。
なんといってもAdam Duritzのヴォーカルが男心をくすぐる,ぶっきらぼうにみえて,耳に彼らのサウンドとともに気持ちよく入ってきます。’60年代後半, '70年代ポップスに浸かった「おじさん」ロックファンにも聴かせるものを持っています。
 「Big Yellow Taxi」は,Joni Mitchellの1970年の「Ladies Of The Canyon」の中の大ヒット曲,ポップスファンなら誰でも耳にしている曲です。このアルバムでは最後の「4 White Stallion」の後の「隠しトラック」として歌われています。シンセのドラムのリズムのイントロからアコースティック・ギターの音色が Adam Duritzの歌唱を引き立てます。さらに、後半のRon Fairのアレンジしたストリングスが一味も二味もカバー曲としての音の工夫がみられる曲にしています。同アルバムのRevised Edition(2003年リリースの彼らのベスト盤「Films About Ghosts/The Best Of」(Geffen B001676-12)にも収録)では女性シンガー・ソングライターの Vanessa Carltonのバック・コーラスを加えたVersionも聴くことができます(私は「Hard Candy」のオリジナルの方が好きですが)。こういう曲を耳にすると、「アレンジ」の妙、アレンジがいかに楽曲に大切かを再認識させます。

 加えて、Counting Crowsですが、,ベスト盤以降、新作が待たれます。ベスト盤の中の新作がBrenda O'brienがプロデュースを担当していましたので、新作に興味が一層湧きます。

(伊東潔)





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