Gladys Knight

That's Why They Call It Love

2001 " At Last " MCA/Universal Music/UICC-1010/CD





 6月の声を聞くと、町の中はつつじの花のあざやかな赤や白が目立つ季節となり、梅雨入り間近いになりました。6月といえば、「(A)June Bride」という言葉が口からこぼれる時季でもあります(手元の小学館の「英和中辞典で「June」をひくと、「A June Bride」との関連で「June Marriages Are Happy」ということわざがあり、「婚姻の保護者であるJunoの祭典が6月初め行なわれたことから」との注がありました。余談ながら、勉強になりました)。


 Wedding Songというと、私の頭にひらめくのは、Elvis Preslyの「Hawaian Wedding Song」とか、The Fifth Dimensionの「Wedding Bell Blues」などの超有名な曲ですが、その後がなかなか思い浮かばない有様です。
 そこで幅を広くして、新しい門出を迎える二人のためのラブ・ソングを選んでみました。私の好きな女性R&BシンガーのひとりのGladys Knight(The Gladys Knight & The Pipsとして数々のヒット曲を放ってことはご承知のとおり)の現時点(2004年)での最新作「At Last」(2001年)の中の「That's Why They Call It Love」(Shelly Peiken-Guy Rocheの作品)を選んでみました。
 二人の前に立ちはだかるいろいろな困難(すこしオーバーですが)を乗り越えるために必要なものは、まさに「That's Why They Call It Love」というフレーズが耳に残るラブ・バラードです。「Love」という抽象的な言葉をときほぐすように歌いかけるGladysの繊細な感情を表現する歌唱力が光ります。彼女の歌に対する深い表現力もさらに歌を優れたものにしています(ほめすぎかしら)。このアルバム全体、ほろ苦いラブ・ソング(普遍性のあるものや神に対する愛など)が集っていますが、この曲もその一つといえましょう。加えて、Gladysの歌の醍醐味を十二分に堪能できるアルバムでもあります。新しい門出を迎える二人にはピリッと辛いラブ・ソングに聴こえるかもしれませんね。

(伊東潔)





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