Blue Magic

Side Show

1974-1996 " The Best of Blue Magic: Soulful Spell " Rhino 72207 /CD





 夕暮れ時になるとどこからともなく聞こえてくる、優しくてメランコリックな調べ。
舞台の暗幕が上がると、素敵なショーの始まりです。

 Blue Magic は、1973年、ファルセット・シンガーである Ted Mills を中心に、Keith Beaton、Richard Pratt、Vernon Sawyer、Wendall Sawyer の兄弟でフィラデルフィアで結成された黒人5人グループ。翌年、Atlantic Records の傘下である Atco からアルバム・デビューを果たしました。
 プロデュースを任されたのは、Philly Soul のメッカ、Sigma Sound Studios のスタジオミュージシャン集団、MFSB のギターリストの1人である Norman Harris。彼は後に、同じMFSBのベーシスト Ronnie Baker、ドラマー Earl Young と "Baker-Harris-Young" というプロダクションを設立して、 Salsoul Records、Atlantic Records を中心に次世代のPhilly Music を担うことになります。


 「Side Show」は1974年、ソウルチャート1位、全米トップ10入りの大ヒットとなりました。曲を書いたのは、Norman Harris と同じく MFSB 出身のギターリストの Bobby Eli と Vinnie Barrettという女性。彼女は当初、Gwen Woolfolk というペンネームを使っていました。Bobby Eli と Vinnie Barrett は多忙な曲作りの合間に一息入れるために、郊外へ散歩に出かけたそうです。そこでアンティーク・ミュージアムを入り、そこでサーカスの動くおもちゃを眺めていました。その可愛らしさに惹かれ、この曲がひらめいたそうです。2人は 帰宅後、Norman Harris に相談、Norman はこの曲の冒頭に "circus invitation"(サーカスへようこそ!)のフレーズを加味、こんな可愛い、素敵なソウル・バラードが生まれました。Blue Magic は他にも「Three Ring Circus」という"サーカス"をモチーフにしたナンバーを歌っています。

 Blue Magic のアルバム制作は Sigma Sound Studios のメンバーを中心にスタッフが大変充実していることもさることながら、メンバーでファルセット・シンガーである Ted Mills の存在も大きく、この人は作曲にも才能長けている人で、「Spell」、「What's Come Over Me」、「Chasing Rainbows 」等の曲を書きおろしていています。 特に「Chasing Rainbows 」は僕の大好きな1曲。気持ちいい爽やかなスィート・ソウル・ナンバー。
 Blue Magic は Atco からアルバムを5枚程リリース、その後もいろいろなレコード会社に所属し、コンスタンスにアルバムをリリースしている模様です。 この曲が大好きになったのは、達郎さんがサウンドストリート時代にオンエアした、 Stars On 45 メドレー「Band Of Gold」 を聴いたことがきっかけ。スィート・ソウル・ミュージックが大好きになりました。 それからというもの、この「Side Show」をはじめ、これに収録されているオリジナル・ナンバーを探すことが楽しみになりました。

(富田英伸)





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