堀込泰行(キリンジ)、畠山美由紀、ハナレグミ

真冬物語

2004 Single Toshiba-Capitol/TOCT-4697/CD





 2004年も明けて、寒さが日ごとに厳しくなってきました。季節が冬ですから、当たり前といえば当たり前ですが、まさに「冬本番」、背中をまるめて街を行きかう人の姿が目立つ時期でもあります。この季節を待っていたかのように、Winter Songが企画され、リリースされました。それも、小生の最近のお気に入り歌い手が集ってるのです。


  それは、兄弟ポップデュオ、キリンジのリード・ヴォーカルの堀込泰行、以前、このMusic Bookで取り上げたPort Of Notes,Double Famousなどでもいい歌を聴かせてる畠山美由紀、そしてハナレグミ(永積タカシ)の3人に松本隆(作詞)、松任谷由実(作曲),冨田恵一(プロデュース/アレンジ)という豪華な組み合わせからうまれた「真冬物語」です(東芝は以前にも高野寛とオリジナル・ラブ(田島貴男)の「Winter Tales」をヒットさせています)。
  松本の切ない男ごころの失恋の詞を、堀込、ハナレグミが男性パート、畠山が女性パートと分かれて歌われています。歌詞の中で、「冬の花火だね/不意の明るさが/瞳にあふれそうな/涙に反射した」というフレーズがこころにくいほど響きますし、主人公のふたりの情景が目にみえるほど松本隆の世界を感じさせます。そして、冨田のアップテンポなサウンドデザインが、失恋の歌の世界に爽快感さえ感じさせる歌にしています。
  この歌を支える冨田恵一の作り出すサウンドも気になります。このコラボレーションの前に、2003年にリリースされたTomita Labの「Shipbuilding」(あのBrill Buildingを意識したタイトル)(Toshiba -Capitol/BCFA-84002)というアルバムがあります。上述の3人も含めて、他に松任谷由実、Saigenji,Birdもヴォーカリストとして参加しているこのアルバムにおいては、それぞれの歌い手を引き立てる彼の力量が示されてると思います。彼の良質なポップス作りには定評があるところです。この曲についても、間奏でのラテン・タッチのピアノに彼の音楽的センスの良さが感じられます。彼がこれからもいい意味で日本の良質のMOR(ミドル・オブ・ザ・ロード)のポップスを聴かせてくれることを期待したいと思います。

(伊東潔)




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