Charlie Rich

Lonely Weekends

1970-1997 " Feel Like Going Home: the essential charlie rich " E2K 64762 EPIC/LEGACY/CD





「Elvisがどこに移籍したか知ってる?」(詠)
「RCAでしょ」(達)
「君、どこ行ったの?」(詠)
「RCAですが」(達)
「ほぉれみろ」(詠)

 新春放談、今年の話題は Sunレコードと、その創始者 Sam Phillipsでした。NiagaraをSunに、大滝さんを Sam Phillips に見立てると、(Sugar Babe として)アルバム1枚を残して出ていった達郎さんはElvisだったというオアソビでしたが、なかなか楽しませていただきました。経営か?音楽か?という重要な問いを笑って喜んでいた大滝さんが好きです。SunとNiagaraの共通点?というとやっぱり似てないような気がしますが(せいぜい「女気にとぼしい」点が共通?)、今回は喜んでSunレコードの話題にお付き合いさせていただきます。



 Sunは1950年にSamがメンフィスに開いたスタジオに端を発します(放送でかかった、Jackie Brenstonの51年作"Rocket 88"の発売は Chessレーベル発売なので、Sunをスタジオとして利用した例ですね)。そして最初のレコードが52年に発売。54年にElvis Presleyが登場。続いて、Johnny Cash、Carl Perkins、Jerry Lee Lewisらのビッグネームが登場します。しかし Elvisが去り、CashとPerkinsも去り(Columbiaへ移籍)、Jerry Lee Lewisがスキャンダルに見舞われ(ここらの虚しさに共通点を見出せなくもない)、ついにはSamはメンフィスのスタジオ(706 Union Ave.)を1959年に閉めます。なおその後のSamはスタジオをメンフィス(Madison Ave.)とナッシュビルに続けてオープンさせ、SunレコードもSamの息子らの助けによって60年代末まで続きますが、50年代がSunレコードの時代と言ってよいでしょう。Samの功績は、複数ジャンルのポピュラー音楽ビジネスの開拓者であったことで、それはロック、カントリー、ブルースの各分野で殿堂入りの栄誉を受けていることからもわかります。
 Charlie Rich はSun最後のスターのひとりで、この曲の歌唱はElvisクローンにも聞こえますが、(この曲を含む)作曲や、ピアノの演奏もこなす才人です。70年代にはカントリーのビッグヒットを飛ばします。この16小節のシンプルなR&Rは実によく出来ていて飽きがきません。オーバーダブされたと思われる厚いコーラスや強化されたリズムの楽しさ、たっぷりかかったエコー。59年に録音されたこの曲は、Charlie の初ヒットというだけでなく、来る60年代ポップスと除隊後Elvisの復活のプロトタイプのようであります。この曲はたいていのSunレコードのベスト盤には収録されています。写真を載せたCDは97年に発表された2枚組ベストで、彼の30年を超えるキャリアが6つの会社を超えて収録されており、epicの丹念な仕事が楽しめます。

(たかはしかつみ)





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