Helen Shapiro

You Don't Know

1961 ODEON EOR10366 Single





 オリジナル歌手の Helen Shapiro は1946年ロンドン生まれ。「You Don't Know」(悲しき片想い)がイギリスでNo.1ヒットになったのは1961年ですから、彼女がまだ14歳の時でした。バンド・マスターでもあり、EMIレコード内のプロデューサーである、Norrie Paramor とそのアシスタントをしていた この曲の作曲者である John Schroeder の目に止まり、Helen は「Don't Treat Me Like A Child」(子供じゃないの)でデビューし、そしてこの曲で人気を決定的なものにしました。可憐な細い声のガール・ポップスもいいですが、彼女の太いしっかりした声は素晴らしく、とても14歳とは思えない立派なものです。


 1960年代初期、日本でこの曲をよりポピュラーにしたのは弘田三枝子でした。1961年11月、東芝レコードから「子供じゃないの」と「悲しき片想い」のカップリング・シングルで和製(懐かしい言い回し)Helen Shapiro としてレコード・デビューした時、彼女もまだ中学3年生の14歳でした。その確かな歌唱力と躍動感あふれる声は当時の音楽ファンを大いに驚かせたと想像できます。あとこの曲は、テレビ音楽番組「ザ・ヒットパレード」で様々な歌手によって歌われていました。独特のハモリで聴かせてくれたザ・ピーナッツの歌が記憶に残っています。(レコードで残っている音源は弘田三枝子とは違った訳詞で歌われています。)

 「悲しき片想い」はイントロのつかみが抜群です。"ウォーウウォーウウォー、オー、イエーイエイエー"というこの当時はよくあった歌詞のないフレーズの中でも、飛びっきり印象的なものです。そして、そこに絡んでくる"キュルッ・キュルッ"という切れ味の良いストリングスも絶妙なアクセントになっています。Helen Shapiro の録音が、ロンドンのアビー・ロード・スタジオでした。それから40余年、今回のまりやさんヴァージョンのストリングス録音も同じアビー・ロード。アルバムの1曲目を飾るにふさわしいポップスの歴史を感じる1曲になりそうです。

(森勉)





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