トータス松本

Bring It On Home To Me

2003 " Traveller " Toshiba EMI TOCT-24938 / CD





 カバーアルバム、多々出ております。選曲によってミュージシャンの音楽的ルーツを垣間見ることができたり、オリジナルをどう料理するか、そのお手並みを楽しんだりと、たいへん興味深いものです。カバーアルバムを作るくらいですから、どんな作り手だってその曲またはミュージシャンが好き、ということには違いないのでしょうが、「好き」の度合いが聴き手には伝わるものです。トータス松本のR&Bに対する愛は、山よりも高く、海よりも深いんじゃなかろうかと思わせます。好感度めちゃ高のアルバムです。


 いわゆるコテコテのR&Bが並んでおりまして、演奏的にも、トータス松本のヴォーカル的にも、ストレートど真ん中! うまくやろうなんて考えもせず、敬愛するミュージシャンの、大好きな曲をやってみました、という感じ。真摯で一生懸命で、「追いつけへんのはわかってんねん。でも好きやからとにかく唄わせてくれ〜〜!」という心の叫びが聞こえてきます。まあ、本人の手による全曲解説にもそう書いてはあるんですが。とにかくわたしは感動しました。泥臭くて暑苦しいけど、サイコーです。
 このアルバムの中で特に好きなのは「Bring It On Home To Me」と「Hard To Handle」かなあ。何かのインタビューによりますと、トータスさんは、同業者の中で Sam Cooke と Otis Redding だけは誰よりも聴いている自信があるとのこと。「Sam Cooke の歌を聴いてなかったら、歌うたいにならなかった」と解説にも記されています。「Sugar Dumpling」もよいですよ〜。トータス松本、ギターも味があります。完全にブルースギター弾きなんですね。このアルバムだからこそ彼の腕が生きたんですね。ギタリストとして再認識できました。
 ウルフルズ、まだライブを観たことがありません。一度は絶対生で観なきゃな〜、と決意するなかのでした。(なかのみどり)




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