Claudine Longet

It's Hard To Say Goodbye

1968-2002 " Roger Nichols & Paul Williams Songbook " Universal UICY-4085/CD





 Roger Nichols と Paul Williams、2人が作った限りなく美しく、そして切ないブロークン・ラブソング。
Nick DeCaro の繊細なストリングス・アレンジを得て、メロディーの結晶は輝き出します。この作品は、2人が初めてコンビを組んだ出来上がったナンバーとのこと。
 Roger Nichols が作る曲は、Paul Williams という相棒を得て、これまでの作品とはちょっと変化してきました。2人は歌い継がれるような美しいバラードを作ろう、これからは職業作曲家としてやって行こう、という意気込みがあったのではないでしょうか。
 僕は Carpenters で Williams-Nichols コンポーザー・チームを知ったのですが、当時は Paul Williams の方は、作曲家、俳優としても結構名が売れていたので、Roger Nichols という人をずっと作詞家だと思っていたんです。当時は情報があまりなかったので僕のようにずっと勘違いしていた人が多かったのでは。


 ジャンルに限らず多くのミュージシャンや歌手がこのチームの作品を取り上げることは、当時、殆ど話題にならなかったと思いますが、彼らの作品集が長い時代を経てこのように世に出るのは、2人の曲が多くの人の心の中でずっと鳴り続けていた証拠です。この2人がもっと早い時期に音楽界に登場していたら、ポップス界に早く名を残せたのではないかと感じることがあります。
 10数年前にも「A&Mコンポーザー・シリーズ」で2人の同様の作品集CDがリリースされたことがあり、とても嬉しかったことを思い出します。しかし、それ以上に今回のこの作品集はパワーアップしていて素晴らしいです。僕の昨年(2002年)のコンピレーションCD大賞、ナンバーワンです。全23曲、珠玉の作品集。
特に Michelle Phillips が歌う「No Love Today」はまだ聴いたことなかったナンバーだったのですが、素敵なナンバーで大収穫。とても気に入っています。長門芳郎さんの選曲がとても適切で、多くの人にとって聴き慣れているであろう Carpenters は1曲も含まれおらず、A&M所属以外のミュージシャンも多いので、聴き比べをしたりいろいろ楽しめると思います。いずれにしても楽曲そのもの素晴らしいので、今一度、2人が作った美しいメロディーに酔いましょう。
 このように多くのレコーディングが存在するのは、Williams-Nichols が多くのミュージシャンから愛されたコンポーザー・チームだったからに違いありません。Williams-Nichols コンビが作った曲を一言で表すとすれば、"切ないメロディー"。これが心の奥底にある記憶と結びついて、いつも響いているのです。

(富田英伸)





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