Jesse Harris & The Ferdinandos

Don't Know Why

2002 " jesse's box " DefSTAR RECORDS DFCP1/CD





 みなさま、寒中お見舞い申し上げます。2003年も厳しい幕開けとなり、相変わらず先の見えないご時世ですが、音楽を愛する気持ち、時間ぐらいは持っていたいですね。本年も、たくさんの素敵な音楽をみなさんとともに味わっていけたらいいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、先だってグラミー賞のノミネートが発表されて、6部門にノミネートされた Norah Jones。何をいまさらと思いながらも、FMであまりにもよく耳にしていて、魅力に耐えきれずについ先日買ってきました。
 はやっているものには理由がある。はい、わたしが遅かったです。これは買って損のないアルバムです。存外にフォーキーでブルージーで、巷では「癒し系」と括られているらしいですが、くぐもっていながらも瑞々しい彼女の声はすーっと体になじむ。これだけ多くのひとに支持されているのがよくわかります。


 また、今さらですが Arif Mardin のプロデュースの手腕はさすがです。素材を生かすには余分なことはしない。おいしい魚は粗塩振って蒸して、ごま油たらすだけで十分。そんな才腕ぶりです。
 さて、このアルバムに数曲を提供している Jesse Harris という人。このアルバムでわたしが「いいな〜」って感じた曲のクレジットをみたら、全部この人の手によるものだったんです。
 ニューヨークのダウンタウンを拠点として活躍しているギタリストでもある彼は、Norah の「Don't Know Why」の大ヒットによって一躍世界的に有名になりました。Norah のバンドのメンバーでもあります。彼のアルバムが過去に2作あり、その2枚を1枚にまとめたものが日本限定で発売されまして、それがこの『jesse's box』です。レコード会社の戦略にまんまと乗ってる自分が情けないような気が…(笑)。でも聴いてみたくなり、買ってしまいました。
 デモテープかと思うような曲があったり、うーんと唸るようなアレンジの曲もあり、彼の歌は Michael Franks をさらに情けなくしたような味わい深さ(笑)。でもね、しっかり心に残るのですよ。
 ライナーにあるインタビューの中で、「ひとつの歌を書き終えると、作者の姿は消えて歌が独自の命を持ち始めると考えている」と彼は述べています。このアルバムを聴いていると、それがすごくよくわかります。彼は昔風のソングライターなのですね。
 わたしの年代のひとたちにとっては、懐かしさを感じる曲ばかり。これから、彼の歌はきっと多くのミュージシャンにカバーされるに違いありません。楽しみです。Jesseさん、クレジットから名前をみつける喜びを思い出させてくれてありがとう。いい曲いっぱい書いてくださいね。

(なかのみどり)





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