南佳孝

日付変更線

1978 " South Of The Border " CBS SONY 25AH530 / LP





 関東は梅雨明け間近。朝からがんがんの陽射しを受けて、クラクラめまいがしてしまうほどの暑さです。この暑さが毎日続くようになる猛烈な8月は、まるで拷問みたいですよね。昔は体温よりも気温が上回ることなんてなかったのに、地球温暖化? ヒートアイランド現象? 恐ろしい環境に身を置いていることを実感します。
 せめてBGMくらいはクールに行きましょう。都会の夏。ホテルのプール。乾いた風。孤高の男と女。そうそう、夏には絶対忘れちゃいけないアルバムです。
 アルバムを通して奏でられるラテンのリズムとパーカッションは、当時としてはかなりインパクトあったと記憶しています。そして大学生だった自分には縁のない、大人の世界。強烈に憧れました。
 アレンジは坂本龍一、演奏陣はティンパン・ファミリーを中心に、ユキヒロさんやゲタ夫さんなど、がっちりとした布陣です。佳孝さんの声って、アンニュイで甘くて男の色香を感じますよね。二人っきりで隣で歌われたら、自分を失いそうです(笑)。


 今聴き返してみてもどの曲もすごく素敵で、最近出たアルバムよ、と知らない誰かに紹介してもわからないと思うくらい。ヴォーカリストとしてだけじゃなく、ソングライターとしての佳孝さんのすごさも知らされる一枚です。「日付変更線」はAメロはマイナーで、サビでメジャーに変わるとこがなんとも憎い佳曲です。スキャットはター坊で、これがまたアンニュイで危うい感じで、いいんですよね。
 音もすごく良いです。ミキサーは Speedy Gonzales とクレジットされているのですが、南佳孝オフィシャルホームページのバイオグラフィーによると、「当時気に入っていたラテン・ミュージックの香りのするアルバムを坂本龍一、来生えつこ、吉田保とレコーディング」とあるので、吉田さんの偽名なのかもしれませんね。
 佳孝さんはいまだにバリバリに活躍されていて、アルバムもコンスタントに出していらっしゃるし、ライブ活動もなさっています。ボサノバ・サンバなどラテン中心のカバーアルバムが出ているので、聴いてみようと思っています。夏は彼の声でcool down。そして癒されてね女性のみなさん。

(なかのみどり)




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