綺羅

夏恋花

2002 " 夏恋花 " ToshibaEMI TOCT-24816 / CD





  雨の季節が終わり、花々についた露のしずくが瑞々しく光っています。夏、素敵な季節の到来。
綺羅は、木戸やすひろさん、広谷順子さんによる夫婦デュオ。2人は今回、"花"をモチーフに日本特有の季節感、懐かしい情景、歳時を表現したアルバム『夏恋花』をリリースしました。
 アルバムの構成は、春夏秋冬と季節が流れるように構成されていて、その折々の日本の風物が古語を中心に美しい言葉で綴られています。サウンドは極めて優しいアコースティックなサウンドに仕上がっていて、木戸さんのギター、広谷さんのピアノも聴くことができます。曲間を鳥のさえずり、水のせせらぎや虫の音のSEで繋げ、季節感をより一層醸し出しています。
 2人の緻密で繊細なコーラスはどこまでも美しく、はっと息が止まってしまう程。素晴らしい声は透明な風となって、部屋中を駆け巡ります。
 広谷さんがしっとりと歌う「闇よ闇夜よ」は、源氏物語、万葉の時代まで心を誘ってくれます。木戸さんソロによる「楽園の雪」はある意味、極上のラブソング。とっても気に入っている1曲です。


 2人はスタジオワークでは超一流の大ベテラン。木戸やすひろさんは1979年にソロ・デビュー。広谷さんも同じ年1979年にNHKみんなのうたでオンエアされた「道」でシングル・デビューしました。木戸さんも広谷さんもソロ活動を続けながら、ニューミュージックのミュージシャンや当時のアイドルに楽曲を提供しました。同時にスタジオ・ミュージシャンとして数多くのコーラスワークに参加。その数は膨大で、2人の名前をクレジットの中に見つけることがずっと楽しみになっていました。これからも2人には素敵なアルバムを作り続けていただきたいと思います。
 表題曲「夏恋花」は今回のアルバムのプロデューサー、矢島マキさんが書いた素敵な1曲。何か忘れていた感覚が戻ってきて、懐かしい気持ちに。
 雨が降り始めた時の土の匂い。紫陽花の葉に見つけたカタツムリ。黄色の雨靴。花の蜜の味.....。雨、あがりました。
1 さくら
2 陽だまり
3 夏恋花
4 雪月花 春
5 兆し
6 幻
7 春の七草 秋の七草 覚え歌
8 闇よ闇夜よ
9 雪月花 秋
10 楽園の雪
11 華の世

(富田英伸)





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