Perry & Sanlin

It's Alright

1980/2001 " For Those Who Love " Capitol/Toshiba EMI TOCP-53197 / CD





 フィラデルフィアやシカゴに限らず、70年代初頭には数多くのスウィートなソウル・ヴォーカル・グループが全米各地に存在しました。セント・ルイスで結成された The Montclairs もそんなグループのひとつ。メンバーは Kevin Sanlin、Phil Perry、 George McLellan、David Frye、Clifford Williams の5人。自らがソロ・シンガーとしても知られている Oliver Sain のプロデュースで「Dream Out Of Season」、「Make Up For Lost Time」というスマッシュ・ヒットを出しました。


 リード・ヴォーカルを務めていた Phil Perry はそのハイ・テナー・ボイスを活かして 80年代に入りLAでセッション・ヴォーカリストとして活動を始めます。時を同じくして The Montclairs の盟友 Kevin Sanlin と組んで出したのがこのアルバム。プロデュースを手がけているのは Charles Jackson。Phil Perry 自身が書いた曲が9曲中7曲。EW&Fが取り上げたことで有名な「You Can't Hide Love」、Thom Bell-Linda Creed 作品の「We Belong Together」と彼らの出自を思わせるようなカヴァーも収録されています。二人のヴォーカルが流麗なホーンをバックに縦横に絡み合うところが最大の魅力。とりわけ Phil Perry のファルセットは聴いていて心地良くなってきます。ディスコ・ブームを経てブラック・コンテンポラリーなるジャンルが市民権を得ようとしていたこの時期。サウンド構成はそうした時代への橋渡し的な雰囲気を醸し出しています。Phil のファルセットも必要以上の粘っこさがなくて比較的さらっとした味わいがいかにも西海岸的です。
 この後も Phil Perry は実にさまざまなアーティストのバックでヴォーカルを取りますが自身の本格的なソロ活動は90年代に入ってから。つい昨年も『Magic』というアルバムを出して今なお現役で活躍するミュージシャンです。
 この曲は達郎さんのサンデー・ソングブックで2002年1月20日にオンエアされました。こういう曲がさりげなくかかってしまうから聴き逃せないなあ、かっこいい番組だなあと思ってしまうのです。

(脇元和征)





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