Procol Harum

A Whiter Shade Of Pale

1967/1972 " The Best of Procol Harum " A&M SP 4401/LP





 難波弘之オルガン、山下達郎ヴォーカルによる「青い影」。幸運は難波弘之プロ・デビュー25周年記念ライブでおきました。このライブは難波さんのキャリアを、ゲスト・シンガーが讃えるというもので、金子マリ、DIAMOND◇YUKAI (Red Warriors)らが自身の持ち歌をたずさえて登場。受けて立つ難波さんにしてみればニュー・ミュージックからプログレ、ストーンズ、はては Marvin Gaye とあっちゃこっちゃにひっぱり回され、ふらふらって感じでありましたが(一体誰のライブだか?!)、それがかえって難波弘之らしさを表現していたとも。難波さんでなければできないことです。
 「DERAM、IMMEDIATE で育った」という達郎さんが、「これだけブリテッシュな人たちと演る機会はない」といって用意したのは、彼が中学・高校時代に聴き込んだというブリテッシュなカバーばかり5曲。その3曲目に「3枚のフェイバリット・シングルのひとつ」と紹介され演奏されたのが「青い影」。このイントロが流れた時には体が震えました。聴きなれた通りのオルガンのイントロ、朴訥なヴォーカル、曲調をよく捕まえたドラムス。行き過ぎない暗さと遅さと強さが組合さって、曲の神秘性を再現していました。技術ある演奏者が、体に染み付いた曲を演奏してくれることに勝る幸せはなく、充実した英国サウンド、堪能いたしました。


 Procol Harum は 1967年から約10年活動したバンドです(90年代に再結成あり)。「青い影」は彼らの処女作(最初の録音らしい)にしてご存じの通りの大ヒット。シングルは DERAM から発表されました。この曲のクラシックなオルガン、ブルーアイド・ソウルなヴォーカル、ちょっと難解な歌詞という特徴は、そのままこのバンドのユニークなメンバー構成に通じます。深みのあるリード・ヴォーカルの Gary Brooker はキーボード担当で大半の曲を作曲し、Matthew Fisher がもう一方のキーボード奏者としてオルガンを担当。作詞専門の Keith Reid が実質上のメンバーとしていたというのも珍しかったと思います。
 難波さんと「青い影」というと、ぼくは「ゴー・ゴー・ナイアガラ」を思い出します。ぼくの高校時代はTBSで放送されていて、2部構成。後半は毎回違ったゲストが呼ばれていたのですが、たしかその3回目が難波弘之さん。そこで難波さんは「青い影」をかけました。もう何を話されたのかは忘れてしまいましたが、すごく好きな曲ですと感想を送ったら、翌週大滝さんにハガキを読んでいただきました。生まれてはじめて放送で自分のハガキが読まれた大滝さんの思い出が、19 年を経て達郎さんにつながりました。ジャケ写は当時聞いていた A&M からのベスト盤です。難波さん、ありがとう。
『難波弘之 プロ・デビュー25周年記念ライブ "Thanks to Singers"』
2001年11月21日 渋谷 ON AIR EAST

 山下達郎セットリスト

 難波弘之 (Key), 大谷令文 (G), 松本慎二 (B), 下田武男 (Dr)

  • Brand New Cadillac / The Shamrocks
  • Nights In White Satin / Moody Blues
  • A Whiter Shade Of Pale / Procol Harum
  • Fresh Air / Quicksilver Messenger Service
  • Gimme Some Lovin' / Spencer Davis Group

(たかはしかつみ)





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