Carpenters

The Rainbow Connection

2001 A&M/Universal UICY5006/CD Single





 水玉の傘をくるくる回しながら、遠くの虹を目指して。水たまりに気を付けて雨上がりの舗道を歩いていく少女。
 水野美紀ちゃんにつられて何気なく見始めたTBS系のドラマ「恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい」。オープニングの柔らかな歌声は忘れもしないカレンの声ではないですか。
これでドラマの成り行きはともかくとにかく一気に引き込まれていきました。
 おもちゃのピアノのイントロが、とってもキュートなワルツのリズムに乗って穏やかに始まるこの曲。お馴染み Karen のアルトな歌声が聞こえ始めたとたん、その歌声は何年もの時間を超えて、何事もなかったかのようにあまりにもすんなりと胸の奥に落ちていきます。それだけで、それだけのことで満ち足りた幸福な数分間を過ごすことができる。これが音楽の魔法かもしれない。うまく言い表せないけれども、彼女の歌声はちょっと上の方から優しく見守ってくれているように感じがして「もうちょっと頑張ってみようかな」、という気にさせてくれるから不思議です。


 この「The Rainbow Connection」は Paul Williams とキーボード奏者として John Lennon や James Taylor をはじめ数多くのレコーディングに参加する一方で、Paul Williams のソロ作品のプロデューサー、コンポーザーとしても知られている Kenneth Ascher との共作。Kenneth Ascher は The Moments の「With You」の作者としても知られています。もともとは Jim Henson が作ったカエルのキャラクター、"カーミット"が活躍する映画『Muppet Movie』のために作られた曲で、アカデミー賞のベスト・ソング、ベスト・スコア部門にノミネートされた知る人ぞ知る名曲。
 Carpenters はこの曲を81年の『Made In America』のためにレコーディングしていたそうで、お蔵入りしていたものを99年に Richard が手を加えて完成させたそうです。まさに Karen 晩年の歌声ですが、まだまだ健在の彼女独特の節回しになぜかしっかりと記憶している、彼女の訃報を聞いたあの日の思い出が重なってきて、ちょっと切なさがこみ上げてきたりします。
 カップリングとして収められている、これも佳曲「Leave Yesterday Behind」も、同じく未発表曲でこちらはドラマの挿入歌として使われており、これらの曲を収めた未発表曲集もリリースされています。
 肝心のドラマの方はそれぞれの思いが交錯しながら、観ている方としてはじれったい展開を続けていますが、この原稿がアップされる頃には新たな展開があるのでしょうか。個人的には岡江久美子さんのいじらしさが、まさにカレンの歌声とリンクしているんですけど。

(脇元和征)
Thanks to TOMITA Eishin





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