Ella Fitzgerald & Louis Armstrong

The Nearness Of You

1956/ 2000 " Ella & Louis " Verve/Universal Music POCJ-9245/CD





 そうたびたび聴くわけではないけれど、手を伸ばすといつも置いてある CD がどなたにもあるのではないでしょうか。ある人は、モーツァルトのピアノ・ソナタであったり、フォー・フレッシュメンのスタンダードであったりと。私にとってのその一枚がサッチモの愛称でおなじみの Louis Armstrong と女性ジャズ・ヴォーカリストの Ella Fitzgerald が 1956年に Oscar Peterson のピアノ、Herb Ellis のギター、Ray Brown のベース、Buddy Rich のドラムをバックに歌ってる『Ella & Louis』なのです。


 あまりにも有名で、ジャズ・ヴォーカルの定番の一つなのでいろいろなところでその魅力が多くの方によって語られてる1枚であり、私がおしゃべりできることは少ないと思いますが、その中の1曲、あまりにも有名な作曲家兼ピアニストの Hoggy Carmichael の曲に Ned Washington が詞を付けた「The Nearness Of You」。Oscar Peterson のピアノのイントロから「It's notpale moon/That excites me」で始まるEllaのまろやかな(常套句でなんですが)聴く者を包み込む暖かくて、心地よいヴォーカル、バックのサッチモのでしゃばらないハイ・トーンのトランペット、そしてサッチモのいつもながらのダミ声。
 どこをとっても彼の歌になる歌唱は素晴らしく、トランペットの間奏を経て、Ellaのヴォーカルに戻る流れは、他にも「Cheek To Cheek」や「They Can't Take That Away From Me」といったおなじみの曲を含めて、巷で言われる「癒し」系(個人的に嫌いな言葉ですが)の音楽にはない、二人ならではの競演の素晴らしさが味わえる作品集だと思います。そう、疲れた時や落ち着かない気分の時の、歌の常備薬になることでもお勧めの CD かもしれません。

(伊東潔)





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