Tania Maria

Forbidden Colors

1988 " Forbidden Colors " Capitol CDP 7 90966 2/CD





 またブラジルがらみでごめんなさい(最近はまり気味なんです)。このアルバムは、極上のスキャットを味わってほしい1枚。あなたもとりこになりまっせ〜。
 Tania Maria は1948年生まれのベテラン・シンガー、コンポーザー、そしてキーボーディスト。14歳のとき、Oscar Peterson のピアノを聴いてジャズの世界に目覚めた彼女は、 1980年代の Concord から出された数枚のアルバムで世に認知された人で、当時のサウンドは、このアルバムよりももっと情熱的で激しいパッションを感じさせます。彼女は83年に斑尾のニューポート・ジャズ・フェティバルに初来日し、以来日本にも根強いファンを持っています。
 彼女の曲をわたしが最初に聴いたのは85年の『Made In New York』というアルバムでした。そのとき、ヴォーカルは土くさいのに曲として聴くととっても洗練されてるな、って強く思ったことを覚えています。


 それまで聴いたことのない、独特の味わいのあるヴォーカルだったこと、スキャットがあまりに魅力的だったこと、時としてスキャットとユニゾる、彼女自身が弾くピアノがまた素晴らしいことが、今も繰り返して聴いている理由です。
 もともとジャズを指向していた彼女の音楽と、ほどよくブラジルのテイストがからみあったこのアルバムは、Concord 時代よりも力みがなくて、全体に軽く、フュージョンに近い曲も含めてポップな感じに仕上がっています。誰が聴いても好感が持てるんじゃないかな。わたしが好きなのは1曲目の「It's Only Love」と5曲目の「Chuleta」。どちらもTaniaのスキャット炸裂! タイトルナンバーの「Forbidden Colors」もスローサンバで、イイ感じです。 Buddy Williams、Steve Gadd、Anthony Jackson などの名うてのミュージシャンがバックを固めて、気持ちよさそうに歌う Tania。このアルバムをきっかけにして、他のアルバムにも耳を傾けていただけるとうれしいです。

(なかのみどり)




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