Little Anthony & The Imperials

Make It Easy On Yourself

1964/1967/1999 " I'm On The Outside Lookin' In / Reflections "
BGO BGOCD447/CD





 達郎さんの Teddy Randazzo 特集の影響なのか Teddy Randazzo が全面プロデュースとアレンジを手がけた2in1CD 。これは2、3年前に同じく BGO から出た『Goin' Out Of My Head / Playin' Our Dues』(BGOCD309)の姉妹盤でもあります。
 「I'm on the Outside Lookin' In」は Little Anthony & The Imperials がDCP レーベル(Don Costa Productions) に移籍して初めてリリースしたアルバム。これまでプロデューサー、アレンジャーとして上質のイージー・リスニング・アルバム、スタンダード・ボーカル・アルバムを作り続けてきた DCP レーベルの主宰者、Don Costa が Little Anthony こと Anthony Gourdine の繊細な声質を生かして上質のコーラス・アルバムを作ろうとして大抜擢したのがこの Teddy Randazzo 。


 Teddy Randazzo がこのアルバムに書き下ろした曲は4曲程度に留まっているものの、既発のヒット曲、「Tears On My Pillow」に混じって Burt Bacharach 「Walk On By」、当時としては取り上げること自体がまだ珍しいと思われる A. C. Jobim 「The Girl From Ipanema」などをカバー。Teddy Randazzo のセンスの良さや音楽の好み等を伺い知ることができます。
 この中にも出色なのは達郎さんが『On The Street Corner 2』で取り上げた「Make It Easy On Yourself」。いつ聴いても胸が詰まる繊細で美しい曲です。
 1967年、『Playin' Our Dues』の次に出たアルバム『Reflections』。Teddy Randazzo が 全面的に表に出たアルバムで、最後に納められている Doo Wop の名曲「A Thousand Miles Away」を除き、全曲 Teddy Randazzo のペンによるもの。
 Teddy Randazzo の美しい旋律に " Little " がとれ大人になった Anthony Gourdine の優しいファルセット・ヴォイスが絡みつきます。この Anthony Gourdine の歌唱法は後に多くのスィート・ソウル・グループに大きな影響を与えたと言われています。
 Don Costa や Teddy Randazzo が目指していたものは、これまでのソウル・ミュージックとは異なる音楽の形、60年代に向けての新しいイージー・リスニング・ミュージックではなかったかと考えています。
 僕は約10数年前、このアルバム『Reflections』のアナログ盤を投売り価格の 800円 で買いました。当時の多くのソウルファンは白人的指向で作られたこのアルバムをあまり評価してくれていなかったみたいでした。

(富田英伸)





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