Jill Sobule

Rainy Day Parade

2000 " Pink Pearl " Beyond Music 63895-78068-2/CD





 髪はショートカット、ルックスはアメリカの映画女優 Meryl Streep にほんのちょっぴり似ていて、声は Cindy Lauper のようなマシュマロみたいに掴みどころのないファニー・ヴォイス。Jill Sobule をそのような形容でたとえたら良いのでしょうか。
 コロラド州のデンバーで生まれ、6歳の時にギターと出会い、中学時代にはお決まり(?)のバンドでギター少女、その後、コロラド大学に入り、スペインに遊学、1990年になんと(?)Todd Rundgren のプロデュースで1枚目のアルバム(私は未聴。残念)を作りますが、あまり日の目をみず、1995年にメジャーのアトランティックの Lava というレーベルから Brad Jones と Robin Eaton のプロデュースで『Jill Sobule』というアルバムで再デビューを果たし、1997年には同じスタッフで『Happytown』をリリースしました。

 「Rainy Day Parade」は、今年、彼女の Beyond Music 移籍第1作『Pink Pearl』(前作2作と同じプロデューサー、全曲共作、オリジナル)の1曲目、マリンバとギターのシンプルな音がポップでミュージカルの中の歌のように、すぐ口ずさみたくなる曲です。彼女のとてもいい意味でのポップ感覚あふれる曲といえます。


 他にも、ムーグシンセサイザー(チープな感じ)とパーカッションがいい色どりをそのヴォーカルに添えている「One Of These Days」、ギターとリコーダーが懐かしみを醸し出している「Lucy At The Gym」、めずらしくロックしている「Someones Gonna Break Your Heart」なども Jill Sobule の歌の魅力を感じさせます。ただ、全体を通して聴くと、シンガー・ソングライター的な面とヴォーカリストとしてポップ性を打ち出している面とがどっちつかずの中途半端な印象を受けるのです。Shawn Colvin、Lisa Loeb、Fiona Apple などのシンガー・ソングライターとは一味もふた味も違ったオリジナル以外の作品を取り上げて、ヴォーカリストとしての彼女の魅力をより発揮できる作品を歌ってほしいという気もします。

(伊東潔)




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