Jimmy Webb

By The Time I Get To Phoenix

1996 " Ten Easy Pieces " GUARDIAN 7243 8 52826 2 1/CD





 その日、男の辿った道のりはそのまま二人の距離となり、女の元に残ったのはくしゃくしゃの手紙と車の轍にこびりついた悲しみ。
 Jimmy Webb のピアノと Steve Smith のスティール・ギターのみで歌われたこの歌は、オリジナルである Glen Campbell が歌ったものよりもより一層、孤独が染み込んできます。
 1996年にリリースされた、『Ten Easy Pieces』は、これまで Jimmy Webb が書いた楽曲を Jimmy Webb 自身がピアノを弾き、歌ったアンプラグド形式の弾き語りアルバム。「 Galveston」、「Wichita Lineman」などは Glen Campbell のカントリー調の広大なアメリカの大地を感じさせる曲調もいいのですが、 このようにピアノで織り成すとJimmy Webb が本質的に持っている「孤独」が表れてきます。


 その他、Brooklyn Bridge に書き下ろした「Worst That Could Happen」、Art Garfunkel に提供した「All I Know」、そしてイギリスの俳優、Richard Harris の「MacArthur Park」、「Didn't We」など10曲を収録。特に「Didn't We」は何度聴いても胸がしめつけられそうな想い。
 「The Moon'A Harsh Mistress」のみ、Dan Hill 等を手がけた Matthew McCauley がストリングス・アレンジを行っていますが、それ以外はアンプラグド形式でギターに、Dean Parks(「Wichita Lineman」) 、このアルバムのプロデュースを担当した Fred Mollin (「If These Walls Could Speak」)等が参加。バックコーラスには、Michael Mcdonald (「 Galveston」)、そして、Jimmy Webb の愛らしい妹 Susan Webb の名前も見つけることができます。いつまでも可愛らしい声です。
 Jimmy Webb の残したメロディーは、当時のアレンジや歌唱を越えて、こんなシンプルな形でも心に染みてきます。

(富田英伸)




Copyright (c) circustown.net