The Millennium

There Is Nothing More To Say

1968,1997 "Begin" Sony SRCS9271/CD





 2000年の一発目がミレニアムでビギン。新千年紀のスタートにぴったりなアルバムではありませんか!(笑)巷のミレニアム・ブームに乗って何とも安易ではありますが、まあいいではないですか。・・・・というわけでありましてその名もズバリ、1968年 The Millenium 唯一の名盤『Begin』をご紹介しましょう。Prefab Sprout が80年代最高のソフト・ロックならば The Millennium は正真正銘60年代最高のソフト・ロック・グループの一つと言っても過言ではないでしょう。
 軽快で美しいコーラス・ワークながらも時代を反映してちょっとサイケデリックで斬新なアレンジが30年を経た今でも新鮮さを失わず・・・というか今の日本でもこういった雰囲気のサウンドを耳にすることがあるような気がします。多用されているアコースティック・ギターが Curt Boettcher の高度で美しいコーラス・アレンジに溶けあい、今なお色褪せない魅力として感じられるからかもしれません。


 プロデューサーでもある Curt Boettcher がこのグループの中心メンバー。私個人としては彼の名を初めて聞いたのは Association のプロデューサーとしてでした。彼は以前このコーナーでご紹介した Eternity's Children のプロデューサーとしても知られています。彼はその他にも、Tommy Roe のアルバムでコーラス・アレンジを手掛けたりしたのち、Ballroom というグループを作って活動していました。The Millennium の前身ともなったグループです。このときのデモ・テープに The Beach Boys とも関係の深いプロデューサーの Gary Usher が手を加え、Bruce Johnston、Glen Campbell らも参加して『Present Tense』というアルバムを架空のグループ Sagittarius として発表します。
 そうした一連の活動と相前後して集まった Curt を含む7人のメンバーで制作されたのがこのアルバムです。このあたりの詳しいいきさつについては長門芳郎さんが書かれたこのアルバムのライナー・ノートをご覧ください。
 前述のアコースティック・ギターだけでなく、効果的な SE やパーカッションの独特な使い方と、しっかりとしたメロディ・ライン、ポジティブな歌詞、それらが絶妙に絡み合っていきます。そうした高度なサウンド・デザインでこのレコーディングを助けたのが後に名プロデューサーになる Keith Olsen でした。また、このアルバムは当時としては先端のテクノロジーであった16チャンネルで録音されたのですが、前衛的なアプローチが却ってあだとなり、期待されたほどのセールスには結びつきませんでした。
 早すぎた彼らは、もしかしたら2000年の今日ならばもっと売れていたかもしれません。そうそう、裏ジャケットの彼らの写真の下には "To Be Continued" と書かれてあります。時代は脈々と続いていくのですね。

(脇元和征)





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