Kenny Gamble

You Don't Know What You Got Until You Lose It
(Jerry Ross-Kenny Gamble)

1999 "YO! Philadelphia / Look What I Found" HYP002/CD





 70年代、一世を風靡した Philly Sound 。その立役者となった Kenny Gamble が 1964 年、Jerry Ross のプロダクションの下、Columbia Records に残した渋〜い1曲。作曲は名曲「I'm Gonna Make You Love Me」を生み出すことになる Kenny Gamble 自身と その師匠 Jerry Ross のコンビ。アレンジは優れた才能を持つ Jimmy " Wiz " Winser。バック・コーラスは Ashford & Simpson と Melba Moore 。みんな次世代に大物となる人物で占められています。
 これまで 英 Sequel が Jerry Ross プロデュース作品については丁寧にリリースしてきたのですが、1999年になって Jerry Ross が残したレアな音源ばかり集めたコンピレーションが突如カナダからリリースされました。1960年から1979年まで、内容も Doo Wop 、R&B、Pops、Mood Vocal、Philly、Easy Litening ....、と多岐にわたって全26曲が収録されています。他にも何曲か紹介いたします。

The Dreamlovers / These Will Be The Good Old Days
(Kenny Gamble-Jerry Ross)1963
 「When We Get Marrried」で知られるニューヨーク Doo Wop グループ The Dreamlovers。バックのスタジオ・ミュージシャンがこれまた凄い! Bobby Martin、Bobby Eli、Joe Renzetti、Thom Bell、Leon Huff ! 皆、Jerry Ross の下で鍛えられていたんですね〜。


The Four Epics / Again (Cochran Newman)1963
 Laurie レーベルのバブルガムな White Doo Wop グループ。アレンジは The Happenings や Laura Nyro のファーストで知られる Herb Bernstein 。メンバーの Jack McNight は作曲才能もあり、いい曲を残しています。
The Rhondells / Don't Say That You Love Me
(Don Dannemann-Tom Dawes)1965
 Bill Deal が加入する前の The Rhondells には、なんと The Cyrkle の Don DannemannとTom Dawes が所属していたとのこと。その2人が書いた作品。
The Lavenders / The Slide (C.Rizzo)1962
 The Lavenders は、盟友 Kenny Gamble ともに Philadelphia International の立役者となった Leon Huff が在籍していたグループ。
Keith / I Can't Go Wrong(Jerry Ross-Artie Wayne)1967
 「98.6」など Jerry Ross のソフト・サウンディング・ポップスの代表選手の Keith 。アレンジはセンス抜群の Joe Renzetti 。バック・ボーカルにはなんと、あの The Tokens が参加!ちなみに 後に Joe Renzetti は映画音楽界に転身しています。
Capter One / Let Me Down Easy (Alkens-Turner-Bellmon-Drayton)1976
Jerry Ross による 素晴らしい Philly Sound ! きらびやかなアレンジは John Davis で Sax ソロは Georgie Young 。
Courtship / Love Ain't Love (Gary Knight-Gene Allen)1976
 ソングライター・チーム、Gary Knight-Gene Allen の作品でアレンジは、 Bobby Martin、Thom Bell によるスィート・ソウル・ミュージック。録音はあの Sigma Sound Studio 。僕にとってこれがベスト・トラックでした。
Kenny & Tommy / I'll Get By (Kenny Gamble-Thom Bell)1963
Kenny & Tommy は若き Kenny Gamble と Thom Bell によるボーカル・デュオ・グループ。
 ここでこの2人の友は優しく心暖まる Doo Wop を披露しています。Thom Bell は Jerry Ross のプロダクションで行われた数々のセッションを通じてそのセンス溢れる才能を磨いていったのではないでしょうか。
The Jerry Ross Symposium / My Cheie Amour (Stevie Wonder)1972
 Jerry Ross のイージーリスニング・オーケストラ The Jerry Ross Symposium の未出の音源。曲は Stevie Wonder のおなじみのナンバー。 Claus Ogerman の流麗なアレンジメントで胸を焦がしてください。
April Young / Gonna Make Him Baby (P.Andreoli-V.Poncia-J.Calvert-M.Wecht)1963
 その The Jerry Ross Symposium のアルバムで " Dedicated to April Young " と記されていたキュートな女性 April Young 。Anders-Poncia の作品ですが出来は今イチ。

 このように プロデューサーJerry Ross がフィラデルフィアの音楽シーンに与えた影響は計り知れません。俯瞰してみると ニューヨークの Doo Wop から Philly Sound まで、1つの線で結ばれているのがよくわかります。この偉大なプロデューサー、Jerry Ross については近いうちに特集で取り上げたいと思っています。

(富田英伸)





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