Larsen Feiten Band

Phantom Of The Footlights

1982 "Full Moon" Warner Bros. 7599-26273-2/CD




 キーボードの Neil Larsen と ギターの Buzz Feiten 。このコンビはスタジオ・ミュージシャンとしても数多くのアルバムで名演奏を披露していますが、そんな仲の良い二人が自分たちのリーダー・アルバムの2作目としてリリースしたのが本作。とは言っても、遡れば1972年に本作のタイトルと同じ Full Moon というユニットでただ一枚残した、幻の名盤『Full Moon』を始めその後の Neil Larsen のソロ・アルバムでも息の合ったところをみせていました。
 さらに遡れば Buzz Feiten は後期の Rascals のアルバム『Peaceful World』、『The Island Of Real』や Stevie Wonder の名作『Talking Book』をはじめとして幾多のアルバムに参加してきましたし、Neil Larsen も Don McLean や Rickie Lee Jones など枚挙にいとまがないほど数多くのセッションをこなしてきました。そんなわけで二人とも名うてのスタジオ・ミュージシャンとして、この時点ではすでに大ベテラン。円熟し、絶妙に絡み合う二人のプレーも長年のコラボレーションの賜物と言えます。


 このアルバムが出された1980年代初頭はAORやフュージョンといった心地よさを強調した音楽がもてはやされていた時代。このアルバムもそんな捕らえられ方をしていたようですが全体的な雰囲気、とりわけ二人のソロは、ロック寄りのミュージシャンとの仕事が多かったためか、かなりロックンロールなアプローチです。このグルーヴ感と特に Buzz Feiten の奏でる濡れたフレーズが印象的な「Phantom Of The Footlights」をはじめNeil Larsen のオルガン・プレイが炸裂する「The Visitor」など、ヴォーカル・トラックとインスト・ナンバーが交互に収められたスタイルは72年当時と変わらず。
 メンバーとして一緒に組んだ Lenny Castro (Per.)、Art Rodriguez (Drums)、Willie Weeks (Bass) の職人芸のプレイも彼らの一体感をいっそう引き立てています。

(脇元和征)





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