"The Best Of The Vogues" (山下達郎選曲)
 (Warner/Reprise WPCR-1387)





開演前の Intermission の BGM
・My Special Angel
・She Is Today
・Turn Around And Look At Me
・Earth Angel
 ほか

 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Variety"(Warner/Moon AMCM-4146)1984






"Mariya Takeuchi" の MC に導かれて、スポットライトに登場したのはまりやさんならぬ達郎さん。いつものテレキャスを手に黒のニット帽、濃紺のシャツにジーンズ姿の達郎さんがイントロを決めます。ソロは佐橋佳幸に引きとられて、ついに登場するのが本日の主役、待ちにまったる竹内まりやさん。復活のナンバーに選ばれたのは、Variety のB面1曲目のロックンロール。この曲の堂々とした第一声とステージングで、観客とバンドをひとつにしました。2000年7 月11日、午後8時40分。まりやさんが帰ってきました。


 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Quiet Life"(Warner/Moon AMCM-4141)1992
 *Single (Warner/Moon AMDM-6066)





佐橋佳幸のモズライト12弦のイントロが印象的な2曲目が続けざまに始まります。まりやさんの白いTシャツに黒いジャンパースカート。胸まである長い髪がかっこいい。この曲のみテレキャスを肩に。新聞各紙にこの写真が載りました。フォークロックというか、ビートルズものはまりやさんになくちゃならないですね。


 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Quiet Life"(Warner/Moon AMCM-4141)1992
 *Single (Warner/Moon AMDM-6122)






「こんばんわ、帰ってきました。18年と7ヶ月ぶりのコンサートです。積もる話もあるけど今日はできるだけたくさん曲をやっていきます」会場から温かく大きな拍手が起きます。「彼よりずっと古いつきあいなの」という女友達のこの歌は今のまりやさんにぴったり。その「彼」ですが、この曲のみキーボードを担当。背中を丸めてギターを背に、立ち姿勢で鍵盤に向かう姿がほほえましい。エンディングはCDどおりにコーラス隊が"With a Little Help from My Friends"のかけあいをやってくれました。


 
作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Quiet Life"(Warner/Moon AMCM-4141)1992
 *Single (Warner/Moon AMDM-6055)






難波弘之のピアノのイントロからはじまるバラードをしっとりと歌い上げます。ロックンロールとポップチューン3曲につづいて、まりやさんのシンガー、コンポーザーとしての資質がつまったこの曲を、完璧なパフォーマンスで聞き、このコンサートがただものではすまされないことに気がつきます。まりやさんの結婚後の得意パターンともいえる曲調ですが、レコーディングだけでなく、ステージで演ってもすっごく良い曲でした.それにしても歌声の包
容力にため息が出ます。

週刊誌ネタのトークも好調。「『カリスマ主婦、竹内まりやのスーパー庶民派生活』に、主婦にカリスマも一般もあるかって。『ノーメイクでママチャリ乗る』に余計なお世話だっ」(以上達郎口調でお読み下さい)


 作詞:松本隆 作曲・編曲:安部恭弘
 "Love Songs"(BMG/RCA BVCK-37014)1980






なつかしいこの曲に、涙したファンも多いのでは。アルバム中の1曲ながら、松本隆の微熱な好詩と、大学時代の音楽仲間、安部恭弘作曲になる名曲です。「別に付き合ってたわけとかじゃないんだけど、当時友達から言われてたの、まりやちゃん安部君と結婚したらアベマリヤねって」。間奏は土岐英史のサックスソロ。ちなみに本年4月の「山下家MLライブパーティー@六本木ピットイン」参加の方にも思い出の曲ですね。


 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Request"(Warner/Moon AMCM-4147)1987
 *Single (Warner/Moon 10SD-17)






結婚後はたくさんの女性シンガーに曲を提供してきたまりやさん。アン・ルイス、故岡田有希子、河合奈保子、中山美穂からヒロスエ、...
まりやさんは音楽生活を支えてくれたシンガー達に感謝を捧げていたようでした。この曲は薬師丸ひろ子のアルバムに提供した曲。「この曲を最近失恋した人、それに会社でリストラされちゃった人、元気のない人みんなに捧げます」


 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 Single(Warner/Moon WPDV-7180)1998






CDどおりに達郎さんのテープによるコーラスで始まったのは、キムタク・中山美穂主演ドラマの主題歌。途中の達郎コーラスもテープで再現。達郎ワールドに味のあるリズム隊を得てこの曲は、CDよりもさらに魅力が増していたと思います。本コンサート中では最新曲。制作中のアルバムの軸となるのでしょう。

「武道館では東京音楽祭、新宿音楽祭なんかで何回かステージに立ったことがあるけれども、5年ほど前にEric Claptonが武道館でコンサートしたときに控え室に行ったらナンパされたんですよ。ホントですよ。ロンドンの電話番号をくれて、Eric って書いてくれて。それで神戸牛は好きかと聞かれたので思わず、"Yes,I do"と答えて、ま食事ぐらいならいいかと思って達郎の了解取っていったんです。な、たっつあん!」


 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Variety"(Warner/Moon AMCM-4146)1984
 *Single (Warner/Moon 10SD-34)





ワルな女の子がテーマのクラブソングですが、イントロで踊るまりやさん、長い髪が流れてかっこいい。この曲だけじゃないんですが、まりやさんの立居振舞いはとても美しいですね。動いてよし、止まってよし。バンドを振り返ってよし、ウインクしてよし(ただしこれは確認できず)。この曲、達郎氏もライブのレパートリーとしているゆえ、バンドは手慣れたもの。最後には達郎さんがこの日初めて喉を解禁、しばし主役をうばってまりやさんの主旋にあわせシャウトを聞かせてくれました。コンサートのハイライトの一。

「日本広しといえども、山下達郎をバックのミュージシャンとしてアゴで使えるのはアタシだけ。」メンバー紹介も、愛情・気配り・ユーモアにあふれていました。これも人柄。


 
作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Request"(Warner/Moon AMCM-4147)1987
 *Single (Warner/Moon AMDM-6033)





「達郎もよく口にするけれども、この歳までまさか自分が歌っていられるとは思わなかった。」
「家庭に入った女性が働くのは、何かを犠牲にし、身体も酷使しないとやっていけない。まだまだそういう時代なんです。」
「それもこれもこういうスタイルの活動を理解して支えてくれた私に関わる全てのスタッフ、家族、そして、私の音楽を聴いてくださるみなさんのおかげです。」

竹内まりやはこのことを伝えるために帰ってきたのかもしれません。重みのある言葉が観客の胸をうちます。飾らない、決して多くない言葉がこれほどまでに伝わるのは、今まで山下達郎と作ってきた音楽、今日ここで歌ってきた音楽がいちばんの証になっているからでしょうか。人と音楽。まりやさんの生きざまとハイレベルの音楽性がバランスよく拮抗し、共感できた希有なコンサートでした。ラストに選ばれたのはこの曲、大ヒットチューン「駅」。後奏に見送られて、まりやさんは舞台下手に消えました。




 作詞・作曲:竹内まりや 編曲:山下達郎
 "Portrait"(BMG/RCA BVCK-37014)1981
 "Impressions"(Warner/Moon AMCM-4200)1994





まりや&達郎に、国分友里恵、佐々木久美、三谷泰弘。アンコールで出てきたのは、この5人。最強のアカペラ隊の登場です。この曲を、アンコールで、しかもこんなに上手いアカペラで、しかも達郎さんのバックで聞けるなんて!まりやさんはハンドマイク、ベースパート担当の達郎さんは左手にマイク、右手にスプーン2丁(クリック用)、残る3人はワンマイクを囲んでの合唱でした。

なくてはならないこの曲を、こう決められては。。参りました。もともとはアン・ルイスにプレゼントされた曲。そして今はアンちゃんだけじゃなく、全ての女の子のための賛歌です。


 作詞:安井かずみ 作曲:加藤和彦
 編曲:加藤和彦・清水信之
 "Love Songs"(BMG/RCA BVCK-37014)1980
 *Single (RCA RVS-557)
 作詞:松本隆 作曲・編曲:林哲司
 "Love Songs"(BMG/RCA BVCK-37014)1980
 *Single (RCA RVS-553)





「ピーチパイ」のイントロで客席は魔法の号令をかけられたようにはじけます。20年前にすごくポップだったこの曲も、まりやさんも変わらずポップ。しかも歌が上手くなったという声もあり。しかしにくらしく上手い演出、結婚後の曲で固められた本編に、まりやオールディーズのこのアンコールでやられました。
だが喜んでいる場合じゃない、連発のメドレーで「September」イントロが始まります。うれしぃー。「どうぞご一緒に」とまりやさん、ハイ歌ってますよ。まりやさんはステージを広く使ってのファンサービス。上手、下手の袖まで出てきて手を振ってくれました。ナツメロじゃない、2000年の生きたポップとして2曲堪能させていただきました。


 作詞・作曲:杉真理 編曲:青山徹
 "University Street"(BMG/RCA BVCK-37013)1979





最後は杉真理のこの曲。まりやさんはタンバリン片手にスタンドマイクで歌います。ありがとうまりやさん、最高、I love you.
「とんだ人を好きになって、She was a cold-hearted woman」
舞台両袖の装置から巨大なクラッカーがはじけて、銀色のリボンが武道館に降り注ぎました。80分間、あっという間の夢の時間でした。


 作詞・作曲:Gilbert Becaud/Kurtz Manny
 編曲:山下達郎
 "All-Time Original Hits"
 The Everly Brothers (Rhino 75996)





バンドのメンバーが舞台裏に下がる中、ステージに残ったふたり。Everly Brothers (もとはフランスのシャンソンの大御所 G.Becaudの曲)で有名なこの曲。二人のデュエットは達郎さんの番組のリスナーならばおなじみ。しかしこのデュエットを生で聞けるとは夢にも思いませんでした。

「私の音楽は達郎を抜きにしては語れません。」テープの伴奏で、最後の最後に本当に二人のステージが実現しました。まりやさんとの再会、素晴らしい歌声、懐かしい曲と、何度となく曇って見えた武道館ですが、再度私たちは胸を熱くしました。この場に居合わせたこと、そしてまりやさん達郎さんという偉大なアーチストと同時代を過ごしていることに。

まりさやんがそっと達郎さんに差し出した手に、この復活の感謝と喜びをみました。
「またいつか、必ずお会いしましょう」

 Vo. 竹内まりや
 Gt. Cho. 山下達郎

 Dr. 青山純
 Bs. 伊藤広規
 Kb. 難波弘之
 Gt. 佐橋佳幸
 Sax. 土岐英史
 Kb. 重実徹
 Cho. 国分友里恵
 Cho. 佐々木久美
 Cho. 三谷泰弘


 文:たかはしかつみ セットリスト:脇元和征



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