前略、竹内まりや様

 初めてあなたの名前を知ったのは今から22年前、ニッポン放送の土曜夜の番組「ニューミュージック・ベストテン」の新譜紹介コーナー。そこであなたのデビュー曲「戻っておいで私の時間」を初めて耳にしました。帰国子女で現役大学生という肩書にハイカラな名前、ど田舎の中学小僧にとっては何一つ身近な存在ではありませんでしたが、その英語混じりのポップスナンバーは洋楽にかぶれつつあった当時の自分の耳に馴染むものであったことを記憶しています。杏里や堀川まゆみ等の同時期にデビューしたニュー・ミュージック系女性シンガーの中で、ひと際光って見えていました。
 と書いておきながら、その後しばらくはまだファンではありませんでした(笑)。「セプテンバー」も「不思議なピーチパイ」も好きだったし、『Love Songs』はFMをエアチェックして聞きましたが、その頃はBritish RockやNew Waveを愛するロック少年のつもりでしたから、「軟弱な女性ポップスはちょっと」という妙な自意識が邪魔しまして(笑)、あまり大っぴらには聞いてなかったのです。
 ご結婚された後にあの『Variety』が出ました。貸しレコード屋で軽い気持ちで借りて聞きました。「もう一度」にうなりました。「プラスティック・ラヴ」に度肝を抜かれました。「とどかぬ想い」にため息が洩れました。「ふたりはステディ」に痺れました。気が付いたらファンになっていました。
 その時から10何年の月日が経ち、ようやくあなたが歌う姿を初めて生で見ることができました。思えば、あなたが動く姿を見るのは「ザ・ベストテン」以来2度目。あの時の初々しく溌剌とした姿に比べると、美しくも堂々たる姉御肌の出立ち、女版山下達郎としか形容しようがない貫禄に、時の流れを感じました。そしてソングライターとしてのあなたに耳を奪われがちだった私も、生で聞く歌声を聞いて、シンガーであるあなたの素晴らしさを思い知った気がいたします。ただ、幾度となく歌詞を間違えられましたが(笑)、今度行われる筈のツアーでリベンジしていただきましょう。
 余談ですが、昨年山陰に出張があった際にご実家へ寄らせていただきました。松江の中古盤屋で「イチゴの誘惑」のシングルを安値で見つけた私は、それを手にご実家の前で記念写真を撮らせていただきました。私はそういうことを普通やらない人間なんですけど。撮ってくれた同行者に散々笑われました(笑)。
 はてさて、最後になりますが、新作は今世紀中に出ますでしょうか。今年の始めにこんなことが語られていたのをよもやお忘れではないとは思いますけれども。

 山下氏:今年はいよいよ、いや本当に、人様のものは大丈夫です。
 大滝氏:夏ぐらいでるの?
 山下氏:夏ぐらいには。
 大滝氏:きいた?みんな。
 山下氏:公言してますから、大丈夫です(笑)。

 お待ち申し上げております。(ツアーも)

草々
パープル蛭子 拝





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