Carpenters

A&M Records POCM-1503
1985

 毎年、この時期になるとBeach Boys、Phil Spectorと共に引っ張り出される、我が家の定番クリスマス・アルバム。
 Carpentersはこれまでに何枚かのクリスマス・アルバムを発表しています。1978年に録音され、発売された『Christmas Portrait』は元々2枚組になる予定だったという程に当時たくさんの曲が録音されたようです。そうした未発表音源などが妹Karenの没後、兄Richardによって、1984年『An Old Fashioned Christmas』にまとめられています。そして翌1985年にRichardがこれら2枚のアルバムを再編集し新たにCD用にまとめあげたのが本作です。
 毎年飽きずに聴き続けられる魅力の1つは、言葉ではとても言い表せないほどに素晴らしく美しく、誰もが一度は耳にしたことがあるKarenのその歌声。テクニックとしての歌のうまさは勿論ですが、さらに持って生まれた声質の良さがあり、こればかりは誰もまねできません。そして、そのKarenの歌声の素晴らしさを一番良く知っていたRichardだからこそ出来たアレンジの素晴らしさ。クラシック、ジャズ、ポップス、ロックの要素を巧みに取り入れながらも、決して流行に流されないアレンジと妥協しない音づくりがこのアルバムに普遍性をもたらしています。
 オープニングの「It Came Upon A Midnight Clear」等、コーラスによる曲、インストのみの曲、そしてKarenのボーカルをしっかりと聴かせてくれる曲をうまく取り混ぜていますが、やはり耳がいってしまうのは、Karenの歌声にあわせRichardが選曲したであろう曲。



       

       

 1943年のミュージカル映画「Meet Me In St.Lewis(若草の頃)」でJudy Garlandが歌いヒットした「Have Yourself A Merry Little Christmas」。達郎さんのカヴァーでもおなじみですが、達郎さんのはShort Version。このアルバムではヴァース付きのLong Versionで収められています。
 ジャズ・シンガーMel Tormeが1946年にRobert Wellsと共作し、すでにスタンダードになっている「The Christmas Song」。Nat King Coleが1946年のクリスマス・シーズンに歌ってヒットしミリオンセラーになったこの曲を、Carpentersはやはりヴァース付きで聴かせてくれ、さらに魅力ある曲に仕上げています。
 もうKarenはいないけれど、このアルバムを聴いていると優しい歌声で語りかけてくれます。

 And so I'm offering this simple phrase
 to kids from one to ninty-two.
 Although it's been said many times,many ways,
 Merry Christmas to you.
                       ってね。

(荒瀬俊也)

 

| BACK | X'mas '99 | NEXT |