コンサートを演奏曲目と共に振り返りたいと思います。全29曲、ひとつひとつにストーリーがあるコンサートでした。ここに記したのは筆者が感じたことの断片に過ぎません。皆さんも記憶と想いを紡いであなたのコンサートを記憶していただければ、これがそのきっかけにでもなればと思います。
※凡例
 
曲名
 発表年月
 収録アルバム
 (現在発売中の国内盤CDの番号)
 オリジナルのリード・ヴォーカル

 コンサートはブライアンの生涯を振り返る短篇ビデオの上映から始まりました。
 続いて全く意表をつかれたオープニング・ナンバー。ブライアンは好きなんですね、この曲。『Pet Sounds』前夜を盤に記録したこの曲。ステージ上では鉄琴の不思議なアレンジが強く印象に残りました。
1. The Little Girl I Once Knew
1965.11

Spirits of America
(Capitol TOCP50867)

Original Vocal by
Carl, Brian and Mike


 意表の2連発目。たたみかけるドラムスとヴォーカルの緊張感が絶品の一曲。
 ただしブライアンのウォーム・アップには少々難曲のようにも思え、コンサートの展開を多少心配したのも事実。オリジナルのヴォーカルはカールでしょうか?絶唱の一つ。70年代の最高傑作『Sunflower』から。しかしいい曲ですね。
2. This Whole World
1970.6

Sunflower

Original Vocal by
Carl


 3曲目でおなじみの一曲が登場。バンドが最もノッていた64年のヒット曲。
 バンドの程よい音の厚みとコーラスのうまさが客席に伝わります。circustown の読者には達郎氏の若き歌声も思い出されるかもしれませんね。
3. Don't Worry Baby
1964.5

Shut Down Vol.2
(Capitol TOCP3316)

Original Vocal by
Brian


 ソロの天使の声をジェフリー・フォスケットが存分に歌い上げ、ブライアンはマイクのパートへ。バンドの骨格が見え始めました。静かなイントロに夜明けの海を感じさせます。ジェフのソロは絶品!
4. Kiss Me, Baby
1965.3

The Beach Boys Today!
(Capitol TOCP3319)

Original Vocal by
Brian and Mike


 2曲続けて初期の名バラードが登場。どちらもなくてはならない曲。ステージのブライアンの声はハーモニーに隠れてしまうこともあるのですが、まずは彼が部屋から出てきてくれて、一緒に歌えることの幸せ。ちょっと失礼を承知で書けば、このコンサートではブライアンのリード・シンガーとしての存在の希薄さが、却って彼のコンダクターとしての存在を際立たせました。同時に彼と一緒に「ハモる」幸せを満喫した客席も多かったのでは。
5. In My Room
1963.9

Surfer Girl
(Capitol TOCP3314)

Original Vocal by
Brian


6. Surfer Girl
1963.7

Surfer Girl
(Capitol TOCP3314)

Original Vocal by
Brian


 典型的な「マイク・ラブ」ソング、パンチでゴーといった感じの大ヒット曲2曲がブライアンに帰ってきました。この2曲がこんなに今のブライアンに「はまる」とは。ビートルズでポールがジョンのパートを歌ってもこうは行かないはず。ブライアンは自分の歌わないパートにも愛情と見せ場を仕込んでましたね。
 自分が歌ってもいいものをメンバーに歌ってもらう。つまり音楽のねらいがハーモニーとアンサンブルにあったと再度思います。
7. California Girls
1965.6

Summer Days (and Summer Nights!!)
(Capitol TOCP3320)

Original Vocal by
Mike


8. Do It Again
1968.7

20/20
(Capitol TOCP3327)

Original Vocal by
Mike


あれ、もう演っちゃうの?と大ヒット曲の登場に、客席は最初のノックダウン。
でも本当のKOがこれから来るのはまだ分かりませんでした。今思い返すと、このコンサートは構成のうまさにも気づきます。
9. I Get Around
1964.5

All Summer Long
(Capitol TOCP3317)

Original Vocal by
Mile and Brian


 前半のハイライトは『Pet Sounds』からのインスト2曲。「California Girs〜Do It Again〜I Get Around」と続いた直後に演奏されました。喜びや感傷、あるいは興奮にそれぞれ浸っていた聴衆は、この2曲から純粋な音楽の想像力の世界に引き込まれたと思います。
 10名のバック・バンドは管楽器(サックス、トランペットほか)を操る2名をはじめ、マルチ・プレイヤーを並べ、このインストでみごとに実力を示しました
10. Let's Go Away For Awhile
1966.5

Pet Sounds
(Capitol TOCP3322)

Inst.


11. Pet Sounds
1966.5

Pet Sounds
(Capitol TOCP3322)

Inst.


 最新作からの1曲。コンサートに新曲はやっぱりなくっちゃいけません。共作者のジミー・バフェットもおだやかなビーチ系の曲には定評がある人で、そんな2人が組んだいい曲です。終盤のコーラスの盛り上げも非常によくできています。
12. South American
1998

Imagination
(BMG BVCG706)

Original Vocal by
Brian


 代表曲がここで登場。中締めの一曲です。余談ですが、ブライアンはコンサート中しばし「立て」と「座れ」の司令を客席に飛ばしてました。もっともみんなが好きなこの曲にそんな司令は不要でしたけどね。
13. Surfin' USA
1963.3

Surfin' USA
(Capitol TOCP3312)

Original Vocal by
Mike


 休憩前のアンコールの様なやさしい一曲。70年代、さっぱりだったビーチボーイズは、「Rock And Roll Music」の大ヒットとこの曲を収録したアルバムで生き返ります。70年中盤以降のグループ活動から唯一の選曲。コーラスはホワイト・ドゥー・ワップを思わせます。
14. Back Home
1976.6

15 Big Ones

Original Vocal by
Brian


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