Moon on the Rain
Fairground Attraction
1988 "The first of a million kisses" BMG Records PD71696 / CD
 このアルバムをfavoriteな一枚に挙げる方はとても多いのではないでしょうか。リリース以来、未だに人気が高い不朽のアルバムですね。「移動遊園地」という意味を持つバンド名の彼らはあっけなく解散してしまったけれど、ギタロンを始めとする生楽器で奏でられる演奏が、エディ・リーダーの自在でしみわたる歌声にマッチしています。いつ聴いてもそのときの気分に合う稀なアルバム。エディ・リーダーはその後ソロとなってアルバムをコンスタントに出しています。来日もたびたび。彼女の歌をぜひ一度生で聴いてみたいです。

 「Moon On The Rain」は、3拍子の、物悲しいけど悲観的ではないラブソング。光景が目に浮かぶとってもよい詞です。バーで飲んだくれてお金も使い果たし、ひとりでとぼとぼ家にかえりつつ、水たまりに映る月をみながら、今は別れてしまった恋人を想うおんなのひとのうた。メンバーだったMark.E.Nevinという人は、とても素敵な詞と曲を書きます。月と雨なんて、ロマンティックな組み合わせだよね。オトコでこういう感性を持ってるひとって、実際の恋愛って苦手なのかも。相手の機微がわかりすぎちゃうのもつらいんだよね。


(なかのみどり)



雨のステイション
荒井由実
1975 "COBALT HOUR" ALFA Record ALCA-9031 / LP
 ユーミンには雨にからんだ曲がたんとあります。比較的初期に多いみたい。その中でも「雨のステイション」は屈指の名曲だと思います(きっとたくさんの方が同意してくださるはず)。「ステーション」じゃなくて「ステイション」ですよ。当時、こういうこだわりにも感心してたっけなあ。のっけからいきなりくってくって始まるイントロでまずKO。この曲は、熟しきってたティンパンが、ティンパンたる名演奏でボーカルを支えているのも大きな聴きどころです。みんないいけど、細野さんのベースが際立ってすばらしいと思う。こんな風に弾きたいと願うベーシスト諸氏は絶対にたくさんいらっしゃるはずです。
 この頃のユーミンの詞は、情景の切り取り方、言葉の選び方、メロディへの乗せ方など、とにかく天才的でした。30年近く経った今だって、こんな人はあんまりいないです(aikoが少し似ている気がするのはわたしだけ?)ユーミン21才、ティンパンもまだ20代半ばです。信じられないよね。

 もしモデルがあるならばこの「ステイション」っていったいどこ?と昔から知りたかったのですが、調べたところJR青梅線の「西立川」駅だそうで、駅前にユーミン直筆の歌碑が立っているそうです。行ったことはないけど、たぶんそんなに大きな駅ではないですよね。わたしにとっての「雨のステイション」は中野駅北口の改札。だからサンプラザへ行くとき雨が降っていたらこの曲がアタマの中に流れ出します。なぜだろう。みなさんにとっての「雨のステイション」はどこですか?

(なかのみどり)

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