達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2003/01/19 Sunday Song Book「Tom Dowd 追悼特集 Part.1」



山下達郎/Ride On Time 1980『Ride On Time』*1
(BGM)John Coltrane/My Favorite Things 1960『My Favorite Things』*2
Stick McGhee & His Buddies/Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Dee 1949 *3
Terry Gibbs With Stan Getz/T & S 1949 *4
The Chords/Sh-Boom 1954 *5
Big Joe Turner/Shake Rattle & Roll 1954 *6
LaVern Baker/Tweedle Dee 1954 *7
(BGM)John Coltrane/Ev'ry Time We Say Goodbye 1960『My Favorite Things』*2
The Coasters/Yakety Yak 1958 *8
Mickey Baker/Midnight Midnight 1958 *9
David Newman/Hard Times 1958『Fathead』*10
Bobby Darin/Mack The Knife 1959 *11
John Coltrane/The Night Has A Thousand Eyes 1960 『Coltrane's Sound』
The Young Rascals/Good Lovin' 1966『The Young Rascals』*12

*1 2003年1月の本日放映開始TBSドラマ『Good Luck!』主題歌。TV Editヴァージ
ョン。
*2 Engineered by Tom Dowd & Phil Lehle.
*3 Atlantic Recordの最初のヒット曲。ビルボードの"ハーレムヒットパレード"
チャート2位。
*4 Terry Gibbs(vb), Stan Getz(ts)の共演盤。78回転SP盤の板起こしとのこと。
Prestigeレーベル『Early Stan』所収。
*5 Rock'n Roll発祥の1曲と言われている。ビルボードR&Bチャート2位。
*6 ビルボードR&Bチャート1位。後に Bill Haley and the Comets がカバーして
大ヒットとなる。作者はJesse Stone(当時のAtlantic専属アレンジャー)。
*7 女性シンガー。サンバ・ビートを取り入れたナンバー。
*8 全米No.1ヒット。
*9 ブルース系ギタリストのソロシングル。後にMomentsを手がけたSylvia
Robinsonと組んで、Mickey & Sylvia「Love is Strange」をヒットさせた。
*10 Ray Charles のバックでサックスを担当していた人。このレコーディングで
もRay Charlesがピアノで参加している。
*11 Atlanticで初めての白人男声シンガー。全米No.1。フルオーケストラ・ナン
バー。オリジナルはKurt Weilが「三文オペラ」のために書いた「Moritat」。
録音は1958年。
*12 1stアルバム。曲は全米No.1ヒット。Tom Dowdはスーパーバイザーとしてクレ
ジット。Arif Mardinがアシスタントとして参加。

内容

・Ride On Time

Q: キムタクのドラマ主題歌に、今なぜ「Ride On Time」なのでしょうか。

「こっちが聞きたいぐらいです。いきなり青天の霹靂でやってまいりました。で
もありがたいことです。去年の「Loveland, Island」に続いて今年も「Ride On
Time」。日頃の行いのお陰かな?という感じでございます。今回は録り直しをし
ませんが、リマスターはし直します。毎年リマスターのノウハウは向上していま
すので。(オンエアされるのは)勿論オリジナル・シングル・バージョンで、今回
はドラマ・タイアップなのでシングルカットされます。2/19にマキシシングルと
として発売決定。カップリングは「あまく危険な香り」です。そして「あまく危
険な香り」と「Ride On Time」のオリジナル・カラオケも勿論入ります。なん
と「Ride On Time」のオリジナル・カラオケを発見しましたので、これをマス
タリングして。「あまく〜」のカラオケは去年作ったカラオケを。」

・特集

「昨年から懸案でしたが、今週来週の二週間を使ってTom Downの追悼特集をお聞
きいただきたいと思います。レコーディング・エンジニア、レコード・プロデュ
ーサとして、50年代、60年代、70年代、80年代と大きな足跡を残しました。私に
とっても最も重要なレコーディング・エンジニアの一人であります。今週は50年
代から60年代頭にかけての、レコーディング・エンジニアとしての最も重要な時
期の足跡を。来週はレコード・プロデューサとしての60年代、70年代、そして80
年代に向けての、これもまた大きな足跡。二つに分けて、Tom Dowdの偉大な業績
を偲んでみたいと思います。」

・Tom Dowd 略歴

「1925年ニューヨーク生まれ。コロムビア大学で物理学博士号取得。徴兵後、マ
ンハッタン計画のスタッフとなった。1947年に大学を辞め、レコーディング・エ
ンジニアとなる。1950年代、1960年代はAtlantic Recordsのレコーディング・
エンジニア、その後プロデューサとして活動を行う。」

・1940年代の黒人音楽ヒットチャート

「当時は"Rhythm & Blues"という言葉がなく、1940年代は白人と黒人の音楽は
全く異なっており、黒人音楽は"Race Music", "Harlem Hit Parade"等と呼ば
れていた。「Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Dee」はBillboardのHarlem Hit
Paradeで2位のヒット。」

・Atlantic Recordsとその背景

「1947年にトルコ大使館の息子だったAhmet Ertegun がニューヨークで
"Atlantic Records"というインディなレコード会社設立。ブルース、ジャズ、
ゴスペルといった音楽は、当時の大手のCapitolやMercuryは殆ど扱っていなか
った。こういったニューヨーク、シカゴのハーレムで行われていた黒人音楽を取
り上げていたのは、Atlanticを始め、Chess,Checker,Vee-Jay,Specialtyとい
った小さな会社だった。不思議な事にそれらのレコード会社の経営、プロデュー
ス、エンジニアに携わっていたのは、ユダヤ、トルコなどの移民系の白人達だっ
た。」

・1954年、ロックン・ロールの誕生

「ロックンロールが生まれた1954年という年はAtlantic Records にとってもエ
ポックメイキングな年であり、Tom DowdがAtlantic Recordsの専属エンジニア
となり、ビルボードのチャートの課長をやっていたJerry Wexlerが入社した。
Jerry Wexlerは"Rhythm & Blues"という言葉を作った張本人で、後にプロデ
ューサとなる。そしてAhmet Ertegun、Jerry Wexler、Tom Dowdのトライアン
グルで数々のヒット曲を生み出していくことになる。」

・Atlanticのミュージシャン

「この頃はAtlanticの小さなスタジオで同じハウス・ミュージシャンを使って録
音していた。代表的なところでBuddy Johnson(sax)、Sam Taylor(sax,
「Sh-Boom」の間奏など)、「Shake Rattle & Roll」のコロコロ転がるピアノの
音色が特長のVan "Piano Man" Walls(p), Connie Kay(ds, MJQの人), Ray
Charles等。」

・Atlantic Recordsの音の特長

「Atlantic Recordsは、R&Bだけでなく黒人音楽全般を扱ったレコード会社で、
ジャンルは異なっていてもエンジニアなどのスタッフは同じ人達なので、音は似
たような音作りとなっていた。この事を是非お聞きいただきたく、1958年頃にリ
リースされた3作を続けておかけします。今日では違うジャンルといわれる音楽
がいかにクロスオーバーしていたかを皆様の耳でお聞きいただければと思いま
す。」

♪ Yakety Yak (Rock'n'Roll, Novelty R&B)
♪ Midnight Midnight (Blues)
♪ Hard Times (Jazz)

「微妙に違うジャンルの音楽ですが、Tom Dowdがやると同じようなテーストにな
ります。Tom Dowdという人は今聞くとエコーが割と少なめです。長いこと聞いて
ますと、あ、これTom Dowdの仕事だなと耳ではっきりわかるようになってまいり
ます。」

「Atlantic専属エンジニア時代の名作を紹介しましたが、枚挙に暇がありません。
JazzではOrnette Coleman, MJQ, Charles Mingus, Doo Wop/Vocal Groupでも
Clovers, Cardinals, Drifters, SingerでもRay Charles, Ruth Brown,いろ
んな人がおります。いかにAtlanticが凄かったか。いくら語っても語りつくせる
ものではありません。」

・Young Rascals

「Young RascalsはAtlantic Records が白人ロックグループで初めて契約した
グループ。1960年中期、Tom Dowd はスーバーバイザー的にクレジットされたが、
その後はプロデューサとしてクレジットされるようになる。アシスタントには
Ahmet Ertegunがトルコから呼び寄せた青年、Arif Mardinがクレジット。私に
とっての永遠のアイドル・グループ。」


今後の予定
・1/26は「Tom Dowd 追悼特集 Part 2」


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