達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/10/20 Sunday Song Book「『Rarities』特集(2)」



山下達郎/潮騒 (Live Version) 2002/10/30発売予定『Rarities』*1
山下達郎/モーニング・シャイン 2002/10/30発売予定『Rarities』*2
山下達郎/First Luck-初めての幸運<しあわせ>- 2002/10/30発売予定『Rarities』*3
山下達郎/I Do 2002/10/30発売予定『Rarities』*4
山下達郎/ヘロン (Guitar Instrumental) 2002/10/30発売予定『Rarities』*5
山下達郎/Juvenileのテーマ〜瞳の中のRainbow 2002/10/30発売予定『Rarities』*6
山下達郎/スプリンクラー (Long Version) 2002/10/30発売予定『Rarities』*7
山下達郎/いつか晴れた日に (Stand Alone Version) 2002/10/30発売予定
『Rarities』*8

*1 1985年Single c/w「風の回廊」。1984/1/6大阪フェスティバルホールでのライ
ブ音源。
*2 1991年Single c/w「さよなら夏の日」。
*3 1988年Single c/w「ゲット バック イン ラブ」。作詞は康珍化(かんちんふぁ
)との共作。
*4 1993年Single c/w「Magic Touch」。Brian Wilson作曲・プロデュース、
Roger Christian作詞。
*5 1998年Single「ヘロン」に収録。
*6 2000年Single。
*7 1983年の作品。サックスソロは井上大輔。
*8 1998年Single「いつか晴れた日に」に収録。ギター弾き語りの一発録り。

内容

・特集

0. 前置き

「『Rarities』発売までいよいよあと10日。プロモーションは黙々とやり続け
ている。主に地方のラジオプロモーション。体調も良く、頑張っている。今回の
アルバムは基本的に未アルバム化のスタジオレコーディング作品集だが、新曲も
古い曲も入っている。いろいろとゴタ混ぜにして、全15曲収録した。頭の7,8曲
だけでミニアルバムでも出せば、オリジナル新作といっても差し支えない内容。
今日はその後半。ほとんどが80年代から90年代のシングルのカップリング曲。サ
ンデーソングブックのリスナーの方にはおなじみの曲ではあるが、いろいろと手
を加えて完成させた。」

1. 潮騒 (Live Ver.)

「初CD化。(ライブ音源だが)ファンの皆さんから「CD化してくれ」という要望が
強かったので、これだけ特別扱いで収録した。メロディーズツアーの千秋楽。当
時31才で尖がった盛りなので、声はほとんど終わっているが、これがいい、と言
わればなんと申し上げよいかわからない。今回はアナログのマルチトラックまで
遡ってアナデジ変換して、それに基づいてミックスダウンしたので、オーディオ
のグレードがぐっと上がっている。ミックスもちょっと現代的にエコーが少ない
感じでやっている。」

2. モーニング・シャイン

「1991年当時、歌のバランスが小さいのが流行だった。今聞くと確かに小さいの
で、オリジナルカラオケを引っ張り出してきて、これにオリジナルの歌の音量を
上げてミックスし直す、という裏技で仕上げた。今回はこんなふうに細かく手は
加えたが、歌い直したものはない。それから生ギターなどの生ものも変えてない
。コンピューターミュージックの場合はオーディオのグレードを上げたいので、
データは同じで音色を変えた、というのはある。」

「こういう曲も最近は作る人もやる人もいなくなってしまった。僕にとってはル
ーツに近い、60年代のNYの香りを入れた作品。」

3. First Luck

「1988年当時はまだCDシングルが出たての頃だったので、マスタリングは全然無
く、「行って来い」の単純にトランスファーしたマスターなので音もすごく平板
だったが、リマスターしてようやく良い音で聞けるようになった。あの当時はち
ょっとエコーが多い感じだったが、リマスターしてちょうどよくなった。もとも
とRascalsみたいな、ちょっと重い感じで作ったが、イントロがギターだったこ
ともあって『For You』の延長のようなサウンドになってしまった。今回リマス
ターすることによって、ちょっと重みが増した。」

「職業作詞家との共作は大変珍しい。80年代終わりには職業作詞家とコラボレー
ションしようと思って随分試みたが、結局使ったのはこの1曲だけ。みんな異口
同音に、「言葉が乗りにくい」と文句を言われた。」

 4. I Do

「オリジナルはWest CoastのボーカルグループであるCastellsが1964年に
Warnerから出した曲で全然売れなかった。Brian Wilson / Roger Christianの
コンビは「Don't Worry Baby」などもある。Beach Boysが本格的にCDリマスタ
ーで出始めた時にボーナストラックとして収録されたが、なんとCastellsと同
じカラオケでBrianとMikeで歌われている。それを聞いてやっぱりこっちの方が
いいな、これちょっとやってみようかな、という気になった。ドラム、ベースも
含めて一人多重演奏したもの。80年代の『Big Wave』のように90年代もやろう
かな、と思って始めたが結局これ1曲だけしかやらなかった。9年ぶりにようやく
CD化できた。」

「ソロシンガーになって26年目になるが、こういう8ビートを裏声で歌うシンガ
ーは私以外には本当に数えるくらいしかいない。9年前になるが、今でもおかげ
さまでこれと同じピッチで歌うことができる。「君を奥さんにする」という内容
の歌なので、エンディングに結婚行進曲の一節が出てきたりする。」

5. ヘロン (Guitar Instrumental Ver.)

「Sunday Song Bookのテーマを「Only With You」から変えようと何度も思っ
たが、これを番組の頭でかけると「皆さん!こんにちは〜!」という感じになっ
て、日曜日の午後ののんびり感が薄まるような感じがして、結局引けてしまった
。その結果「Only With You」を10年使っている。」

 6. JUVENILEのテーマ〜瞳の中のRAINBOW

「ヘロンはあまりにも「行け行け!」の曲なので、この曲の後に何を並べても聴
き劣りがする、というやばい曲でもある。いろいろと考えて、この曲の後にはこ
れしかない、という曲。私の中でも一番静かな内省的な曲。映画「Juvenile」
の主題歌。エンドタイトルでかかることを想定して書いた。山崎さんの「
Juvenile」という映画がとてもよかったので、ちょっと入り込み過ぎて、すご
くシングル向きではない曲を書いてしまった。だけど気に入ったメロディーライ
ンで作られている。ものすごく繊細にピアニシモで作ったせいで、歌、ギターか
らすごくノイズを拾ってオーディオ的に問題があった。そこで打ち込みのものを
オーディオ的にグレードアップしようと思って全面的に差し替えてリミックスし
た。」

「2002 Rarities Remix とでもいうべきもの。」

7. スプリンクラー (Long Ver.)

「最後の2曲はこういう企画でもなければアルバムに絶対に入らずに、歴史のか
なたに消え去ってしまうもの。これはこのアルバムの中で最も古い83年の作品、
「スプリンクラー」。アルバム『Treasures』の中にシングルバージョンが入っ
ているが、この時にロングバージョンを作った。今でもリミックスのロングバー
ジョンはたくさんあるが、83年当時はExtended Club Mixなどという呼び方をし
ていた。もとのマルチトラックをつぎはぎしたり、楽器を抜き差して長いバージ
ョンを作るというようなことが大変流行っていた。自分もそういうのを作ってみ
ようと思い、実際に作って12インチを出そうと言ったのだが、当時設立したばか
りのムーンレコードからは「売れないからダメ」と言われて泣く泣く諦めた。で
もずーっとマスターを持っていて、この度めでたくデジタルリマスターして発表
することができた。こんな日がくるとは思わなかった」

「サックスソロを吹いているのは、故井上大輔さん。井上大輔さんのこんなに長
いサックスソロは他にはない。そういう意味で記録的な価値もあるように思う。


8. いつか晴れた日に (Stand Alone Ver.)

「「いつか晴れた日に」のカップリングのカップリングは、先週かけた「好・き
・好・き Sweet Kiss」。だいたい2曲入って、2曲カラオケ、というのがCDシン
グルの常道であるが、この時はどうしてもこのStand Alone Ver.を入れたくて
、「好・き・好・き Sweet Kiss」のカラオケにどいてもらった。この曲はもと
もとギターの弾き語り用に作ったもので、本当はこっちでシングルカットしたか
ったが、「とんでもない!」と言われて演奏付きがシングルになった。Stand
Alone Ver.は、弾き語りの一発録りで収録したもの。98年に出したシングルは
、エコーがもう少し深かったが、今回は目の前で歌っている感じでリミックスし
た。」

・まとめ

「15曲中9曲はなんらかの形で手を加え、残りの6曲はこれで良しと、許可がおり
て、10月30日に予定どおり発売となった。ようやく最近は30才前後のペースに戻
ってきて、毎年なんらかの形で1枚ずつ出せて、5年で2回ライブができるように
なり、大分調子が戻ってきた。この調子で来年はニューアルバムができるように
、また11月からスタジオに戻って活動したい。次のニューアルバムまでのつなぎ
、というような感じで楽しんでいただければ、と思う。初回限定オリジナルカラ
オケ、スペシャルボーナスCD付き。」

・Q&A

Q: 今回のCDはCCCD(コピーコントロールCD)ではないですよね。

「同様の質問がたくさん来ていて、関心の高さがわかります。CCCDに関しては話
し始めると長くなるので申し上げられませんが、一言で申し上げれば、山下達郎
がCCCDをやるわけないじゃないですか。15年間、CDのクオリティーというもの
に対して非常に疑問を持ちつつやってきて、やっとここまで改善してきたのに、
音質的に欠陥があるいかなる要素も認めませんので、絶対に全作品ともCCCDには
しませんので、安心してお買い求め下さい。」

今後の予定

・10/27は「棚からひとつかみ」


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