達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/10/13 Sunday Song Book「『Rarities』特集(1)」



山下達郎/Blow 2002/10/30発売予定『Rarities』*1
山下達郎/君の声に恋してる 2002/10/30発売予定『Rarities』*2
山下達郎/Love Goes On(その瞳は女神) 2002/10/30発売予定
『Rarities』*3
山下達郎/Happy Happy Greeting(Original Demo Version) 2002/10/30発売予定
『Rarities』*4
山下達郎/Misty Mauve 2002/10/30発売予定『Rarities』*5
山下達郎/To Wait For Love 2002/10/30発売予定『Rarities』*6
山下達郎/好・き・好・きSweet Kiss! 2002/10/30発売予定『Rarities』*7

*1 1992年Single c/w「アトムの子」。1992年アメリカズ・カップ・ソング。
『Cozy』アナログ盤には収録されている。
*2 2001年Single。NTT Communications CMソング
*3 現時点での最新曲。フジテレビ系「デリ!スマ」テーマソング。
*4 未発表曲。1998年KinKi Kidsへの提供曲のセルフカバー。作詞松本隆。
*5 未発表曲。1988年鈴木雅之への提供曲のセルフカバー。作詞竹内まりや。
*6 未発表曲。Burt Bacharach作品、Hal David作詞。Jay & Americans, Tom
Jones, Herb Alpertなどが取り上げている。Herb Alpertでチャート入り。
演奏は山下達郎一人。コーラスに竹内まりやと国分友里恵参加。
*7 1998年Single c/w「いつか晴れた日に」。JACCS Card CMソング。
演奏は山下達郎一人で、間奏のギターのみ佐橋佳幸。

内容

・近況

「先月は雑誌取材をやっていたが、今月は地方AM/FM局などラジオの取材が始ま
った。先月は一日も休みがなかったが、今月は一日に重なる。業界用語でダブス
ケ、トリプル。今日は6つ。6段積み。それでも番組は止めない。」

・特集

ニューアルバム『Rarities』を頭から収録順に紹介。全15曲なので割愛しつつ。
なお、『Rarities』は企画色が強いアルバムなので、ブックレットにライナーが
付き、各曲の詳細な解説が書かれている。

0. 前置き

「今年の5月でRCA/Air Specialのツアーを終えて、6月半ばから少しずつニュー
アルバムのレコーディングを始めていた。来年の前半にアルバムを出すペースで
考えていた。ところが7月頃に所属するレコード会社から、今年の秋口になんと
か一枚出してくれないか、といきなり来た。昨今レコード業界も不況ですから。
今年の前半は短期間移籍してたような状態だし、今年はワーナーから何も出てな
い。それでやってみようかと。でもスケジュールは一月半と非常にタイト。一番
最初に思いついたのが、シングルのB面コレクション集。ところがそういう曲を
並べるとCD一枚をオーバーフローしてしまう。それでライブを除いてスタジオレ
コーディング作品だけにした。そうなると未発表曲やセルフカバーもやるかと、
話が捻じ曲がってきた。ついにニューアルバム用にスタンバイしていたシングル
作品まで入る羽目になった。その結果、新譜でも旧譜でもない、おかしなカタロ
グが出来上がった。」

1. Blow

「アルバムが企画された時から、1曲目は絶対にこれにしようと。CDアルバムに
入るまで実に10年の時を要してしまった。私にとって非常愛着のある曲。CDカッ
プリングのみの曲はライブでもなかなか演りにくいが、これで思う存分ライブで
やれる、かな?」

「この曲はAmerica's Cupという国際的なヨットレースのテーマソングで、ヨッ
トが疾走する感じに合わせるために作った。ヨットの映像に合わせる音楽という
のは実は凄く難しい。物凄くスピードが出ているのに映像は静か。3日かかって
リズムパターンを決めた。この曲はヨットやウインドサーフィンの映像に合わせ
ていただくと、世界中でこんなにフィットする音楽はないと自信もって申し上げ
られる。苦労して作ったので凄く愛着がある。」

2. 君の声に恋してる

「遠距離恋愛の歌。すごく自分では愛着の一曲で、ちょっと早いけどアルバム化
できて嬉しい。」

「こういう曲も最近は作る人もやる人もいなくなってしまった。僕にとってはル
ーツに近い、60年代のNYの香りを入れた作品。」

3. Love Goes On

「頭の3連発はすべて生楽器。」

「本当はシングル切らなきゃだめだったが、こんな風になるんだったらシングル
切っときゃよかったなと思いますが、RCAカタログの再発とツアーで忙殺されて
、ブラスの手直しとかをする余裕が全く無くて、まあいいか、次のアルバムから
のカットで行こうと。こんな風になるんだったら無理してもシングルを切ってお
けばよかったと思うが、どうにもなりません。後悔先に立たず。」

「いわゆる夕暮れの、明るいのがちょっと暗くなる頃。今頃は秋の日はつるべ落
としなんていいまして、ぱっと暗くなる。すると街灯がぽっとともったりする。
私は東京生まれの東京育ちなので、小さい頃から昼と夜の間にビルの光や街の灯
がともる光景を見てきた。そういうのを切り取った歌が結構沢山ある。古くは「
パレード」なんてのがあるが、「パレード」がちょっと大人になったような歌。


Q: 歌詞に「君のくれたアケミ」と聞こえるが、本当はなんて歌っているのか?

「歌詞カードをご覧下さい。すぐわかります」
→ 「アルケミー」(alchemy:錬金術)でしょう。

4. Happy Happy Greeting

「セルフカバーが最近大流行。最近のは自分の曲をリアレンジして歌い直す企画
が多い。自分にとってのセルフカバーは、人に書いた曲を歌い直す方が好き。自
分の作品をリアレンジしてリメイクしてもう一回歌おうと思ったことが一度もな
い。90年代に人に書いた曲となると、KinKi Kidsの4曲が中心となる。その中か
ら自分でやってみようかなと思うが、いかんせん年齢差がある。かなり入れ込ん
で書いたのでKinKiのキャラに合わせてある。そんな中で自分のキャラに一番合
うのが「Happy Happy Greeting」というニューイヤーソングかなと。」

「セルフカバーするにはアレンジを替えてやるのが差別化が効いて面白いが、私
が人に作品を提供する場合にはほとんど編曲を込みでやっている。そしてその曲
にとってのアレンジメントは最終決定項なので、編曲は簡単には変わらない。や
ってやれないことはないが時間と手間が物凄くかかる。当初は自分がアレンジを
やっていない「ジェットコースター・ロマンス」にしようかなと思ったが、一週
間ほどやってみたが、やっぱり歌詞の面とか自分のキャラに合わない。それで自
分に向いている「Happy Happy Greeting」で正面攻撃で行こうと。」

「KinKiのバージョンは和楽器やJrのコーラスなど賑やかなオケですが、私は一
番最初のデモテープに立ち戻って、最低限の音と大人のコーラスというシンプル
なオケで行ってみようと。したがってサブタイトルはOriginal Demo Versionと
名付けた。インディな感じがするぐらいシンプルだが、はっきりと歌のニュアン
スを感じていただけると思う。」

5. Misty Mauve

「これもセルフカバー物。ぐっと古くて1988年。今から14年前、鈴木雅之さんの
『Radio Days』というアルバムに提供した曲。このアルバムには私が後にセルフ
カバーした「おやすみロージー」も入っている。この曲は実はその後、アルバム
『Artisan』の時に自分でレコーディングしていたが、日の目を見ずに置いてあ
った。『Artisan』は曲数が多かったのでアウトテイクとなった。今回マスター
リストをチェックしたら、なんとこの「Misty Mauve」はミックスダウンが終わ
ったマスターが出てきた。全然覚えていなかった。1曲儲かったなって感じ。今
聞くとクールでいいオケ。「Happy〜」やこの曲をやろうと思うのも「わがまま
リクエスト」で出たアイディアから。何事もファンの皆様のお陰。」

「まりやと僕で共作して人に提供したのは、後にも先にもこの鈴木雅之君の時だ
け。ちなみにMisty MauveというのはRevlonから出ていたペディキュア。今はも
うないのかな。」

6. To Wait For Love

「洋楽カバーもこの際入れちゃおうと。前に一度やったことがあるが、今回全部
録音し直した。1993年『Season's Greetings』のときにボツった曲。
Bacharach/Davidコンビ。生まれて初めてBurt Bacharachをカバー。Bacharach
の曲はよく言えばアダルト、悪く言えば爺くさい。あまりティーンエイジャー向
きの曲がない。「Wives And Lovers」とか「House Is Not A Home」とか。『
Season's Greetings』の時は丁度40歳なのでそろそろいいかなと思った。めで
たく50歳手前で取り上げた。僕もう本当に死ぬほど好きな曲なんで。」

7. 好・き・好・きSweet Kiss!

「私すっごく愛着がある曲。こういう曲をデジタルで作ると音像が作りにくいの
で、今回オーディオのグレードを上げるために打つ込みを録音し直した。」

今後の予定

・10/20は「『Rarities』特集(2)」


circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


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