達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/7/21 Sunday Song Book「Bruce Johnston特集(1)」



Lisa Loeb/恋の嵐 2002 V.A.『Sincerely』*1
Bruce Johnston/Surfer Stomp(LIVE) 1962『Surfers' Pajama Party』*2,3
Bruce And Jerry/Take This Pearl 1959 *2,4
Ron Holden/Love You So 1960 *2,5
Ron Holden/True Love Can Be 1960 *2,6
Doris Day/Falling 1960 *2,7
Janis Rado And The Sequins/I'm Coming Home 1960 *2,8
The Playgirls/Gee, But I'm Lonesome 1960 *2,9
Bruce Johnston/Makaha At Midnight 1963『Surfin' Round The
World』*2,10,11
Bruce Johnsthon/Down Under 1963『Surfin' Round The
World』*2,10,12
The Rip Chords/The Queen 1963 *2,13
The Kustom Kings/In My '40 Ford 1964 *2,14
Pat Boone/Beach Girl 1964 *2,15

*1 7/10発売。ユニバーサルから出た竹内まりや逆カバー物。
*2 Bruce Johnston作曲
*3 1stソロアルバム。UCLAでのライブレコーディング。Del-Fiレーベル。
*4 Jerry Cooperとのデュオ。Arwinレーベル。
*5 『On The Street Corner 3』の曲のオリジナル。
*6 Ron Holdenとの共作。Del-FiのサブレーベルのDonnaレーベル。
*7 1960年録音だが、発売は1962年説がある。息子がTerry Melcher。
*8 Del-FiのサブレーベルEdselレーベル。Bruce Johnstonの妹の友人。
*9 作詞もBruce Johnston。Ron Holdenに書かれた曲のカバー。
アレンジはJimmy Haskell。RCAレーベル。
*10 2ndソロアルバム。Columbiaレーベル。Produced by Terry Melcher。
*11 1964年にシングルカット。邦題「夕日の渚」。
*12 Hal Braine(ds)との共作。コーラスはHoneys。
*13 Terry Melcherとの共作。「Hey Little Cobra」のB面曲。
*14 リードボーカルがBruce Johnstonの幽霊グループ。作詞もBruce Johnston。
Smashレーベル。
*15 Terry Melcherとの共作。全米72位のスマッシュヒット。
Rip Chordsへの提供曲をPat Booneのために改作した。

内容

・B面コレクション

「先々週あたりからスタジオに入って、しこしことニューアルバムを始めており
ますが。突然でございますけど、秋口に一枚アルバム、CD出すかもしれません。
オリジナルアルバムは今年中には無理なので、その間に間が空くので一枚ぐらい
ファンサービスで出しちゃおかな、って感じでございます。いわゆるB面コレク
ションといいましょうか、CDシングルのカップリングとか、今まで未発表の音源
とか、そうしたレア物、そういうものを集めて出しちゃおかなと、この際ですの
で。その様な計画が出てまいりました。詳しいインフォメーションはまた数週間
後に、全部発売日とか決定した段階で申し上げますが。そんな予定が不意に突発
しました。新作のレコーディングしながら、そっちの方も並行してマスタリング
等やらなければならない。段々忙しくなってまいりました。頑張っていきたいと
思います。」

・Sincerely

「7月10日に『Sincerely...Mariya Takeuchi Songbook』というタイトルのコ
ンピレーション・アルバムがユニバーサルから発売になりました。向こうのアメ
リカのシンガーがまりやの歌に英語詞をつけて歌うという、所謂逆カバー物です
ね。メンバーが意外にも錚々たるメンバーで、Lisa Loebを始め、Tiffany,
Richard Marx, Ann Wilson(Heart), Roberta Flack, Pheobe Snow, Marilyn
Martin, Bobby Caldwell, Laura Branigan, Rita Coolidge, Pointer
Sisters。各々いろんな曲をやっておりまして。気の早い皆様からリクエストを
いただきまして、その中から1曲。完全にばらけておりまして、完全に私の趣味
でございます。」

・Bruce Johnston特集

♪ (BGM)Surfer Stomp

「今週来週と2週間に渡ってBruce Johnstonの特集を行います。Bruce Johnston
の特集は取りも直さずCaliforniaのSurfin' & Hot Rodの特集に重なる訳でもあ
ります。60年代初期のCaliforniaのRock'n'roll、一世を風靡しましたSurfin'
& Hot Rod。とは言いましても非常にいい加減なガレージミュージックでありま
す。20年ぐらい前にはBruce Johnstonの特集なんてとてもできませんでした。
なぜなら60年代初期のBruce Johnstonの関わっているシングルなんてのは本当
にレアで、高くてとても手が出なかったし、実際に無かったんですけど、最近の
CD化の波がこうした物凄くレアなシングルにも光が当たってきて、今ではこうし
た特集が苦も無くできる時代になりました。いい時代でございます。またBruce
Johnstonという人はBeach Boysに入る以前は日本ではほとんど無名だった人な
ので、我々が20代の時代、70年代の初期にBruce Johnstonに書かれた資料なん
てものは、ほとんどいい加減、嘘ばっかりでありました。従いまして今日なんか
も参考になる資料は我々より一世代二世代お若い人が書かれた資料、この方が遥
かに正確であります。そういうものを基に今日はお届けしたいと思います。」

「Bruce Johnstonは1942年6月27日生まれですから、先日めでたく還暦になりま
した。Illinoisで生まれましたがすぐに孤児になりまして、里親に引き取られて
Bruce Johnstonという名前になりました。Los Angelesに移りまして
University High Schoolという高校に進学いたします。今で言えば堀越学園み
たいな変な高校で、芸能人の巣窟。高校時代の同世代がJan & Deanとか、Dick
& Deedee, Sandy Nelson, Nancy Sinatra, Kim Fowley。この人は60年代の
Bruce Johnstonの重要なパートナーとなりますが。後のCaliforniaのロックシ
ーンを彩るいろんな人が高校の同世代におりました。従いまして高校でいろんな
バンドを組みまして。一番最初にやりましたのが後にドラマーとして大当たりに
なるSandy Nelson。Sandy Nelsonのバンドを組んで16歳の時にシングルを出し
ましたが全然当たりませんでした。翌年に応用編でKim Fowley, Sandy Nelson
の仲間でRenegadesというバンドを組み、17歳の時にシングルを出しましたがこ
れももちろん当たりませんでした。どれもこれもみんなインディであります。そ
うしたBruce Johnstonの最初期の作品から1959年7月。やはり高校の友達の
Jerry Cooperという人とBruce & Jerryというデュオを組み、Arwinというイン
ディなレーベルからリリースしました。これが本当のBruce Johnsonの最初期の
作曲作品。」

♪ Take This Pearl

「この曲が発売されたArwinというレーベルは、Terry Melcher、後にBruce
Johnstonと60年代中期に最も深い絆で、現在までもそうですけど。Doris Dayの
息子さんです。このTerry Melcherのお父さんのMarty Melcherが経営していた
レーベルで、17歳の時にBruce JohnstonとTerry Melcherは初めて会う訳です。
ハイスクールを出るか出ないかの内にこうしたプロの真似事を始めました。最初
に成功したのはA&Rマンとしてで、友達のSandy Nelsonのデビュー作でベスト10
に入ります「Teen Beat」。これのA&RとしてBruce Johnstonは音楽業界に入っ
ていく訳です。高校の友達といろんなバンドをやる中で、週末のダンスパーティ
とかで演奏する中で、Surfin' & Hot Rodの有名なThe Gamblers「Moon Dawg」
という一作が生まれたりしています。1960年にDel-Fiレコードという当時Los
Angelesで有名なインディでございました。そこの専属プロデューサに売り込ん
で採用されます。そこでDonnaというサブレーベルを任されることになりまして
、初めて手がけたのがRon Holdenという黒人歌手です。この人のためにプロデュ
ースした「Love You So」という曲が見事全米Top5に入るヒットとなりました。
私の『On The Street Corner 3』でもカバーしました、あの「Love You So」で
ございます。」

♪ Love You So

「こうしてBruce Johnstonは二十歳そこそこでLos Angelesの音楽業界でちょっ
と名が知られ始めてまいります。そんな時代、60年あたりにBruce Johnstonの
作曲した作品を3曲ほど。まずはRon Holdenの「Love You So」の大ヒットの後
を受けて制作されたアルバムのための曲。Ron Holdenとの共作で「True Love
Can Be」。「Love You So」の二番煎じみたいな曲ですが。それからTerry
Melcherの関係でDoris Dayに曲を書いております。大変ストレンジな曲です。
続いてBruce Johnstonの妹の友達のために書いた曲。」

♪ True Love Can Be
♪ Falling
♪ I'm Coming Home

「「I'm Coming Home」は同時期にMel CarterのバージョンがArwinレーベルよ
りシングルが出ております。もう1曲60年の作品を。これは元々Ron Holdenのた
めに書かれた曲ですがそれのカバー。Bruce Johnstonは直接録音に関わっていま
せんが、私はこのバージョンの方が好きなので。」

♪ Gee, But I'm Lonesome

「Arranged by Jimmy Haskellなので、Ron Holdenのバージョンよりこちらの
方が好きです。ちょっとオリジナルシングルなのでスクラッチにはご勘弁くださ
い。とっかかりはバラードばっかりですが、アップテンポの曲も沢山あるんです
が、つまんないインストばかりなので、来週時間があまったら話のタネにお聞き
をいただきたいとおもいます。」

「しかしCaliforniaのRock'n'rollはインディというかマイナーなものばかりで
、日曜日の午後にこんなのばかり掛け続けていていいのかと段々心配になってき
ますが。そういう意味じゃCarole KingとかBarry Mannとか、先日のDavid
Gatesとかとは全然インディ度が違います、格段に。こういうところからBruce
Johnstonが出てきたという感じでございます。なんてったって全部10代に書いて
いる音楽ですから無理もありませんよ。17,8ですからね。」

「実はBruce Johnstonは1961年にUCLAに入学しまして、翌62年にDel-Fiレーベ
ルからソロシングル、ソロアルバムを出すことになります。これがいわゆるダン
スパーティ物の、今聞くとあまりお勧めできないものなので本日は掛けません。
来週時間が余りましたらそれで行ってみたいと思います。1stソロアルバム(『
Surfers' Pajama Party』)というのがもうほんとに訳のわからないものなので
す。注目すべきは1963年に2ndソロアルバムを出します。Del-Fiの専属プロデュ
ーサ契約が終了しまして、Terry Melcherが当時ColumbiaのA&Rをやっていまし
た。Terry MelcherがBruce Johnstonを誘いまして、一緒に仕事をやらないかと
。それが63年の話でして、そこで作りましたのがBruce Johnstonのソロアルバ
ム『Surfin' 'Round The World』。サーフィン世界一周という奴ですね。有名
な作品でして、California Surf Musicを語る上で重要なアルバムです。ここか
ら後発シングルとして64年に発売されました「Makaha At Midnight」。」

♪ Makaha At Midnight

「たった3年の間に音がインディな感じからメジャーに発展する訳ですが。アメ
リカのRock'n'rollのスピードの速さと。60年代の頭でございますが。もう1曲こ
のアルバムから。これはDrummerのHal Braineとの共作。私の昔からのFavorite
Song。」

♪ Down Under

「オーストラリアのDown Under。さっきはHawaiiのMakaha Beachで、"Surfin'
'Round The World"っていうぐらいですから、ワールドワイドなサーフィンスポ
ットの名前を取り入れつつ、曲の名前にしているという感じです。」

「ColumbiaでBruce JohnstonとTerry Melcherは手を組んで、いろんな作品に
手を染めていきます。自分たちで歌って演奏した幽霊レコードですとか、プロデ
ュース、作曲、いろいろなことをやりつつ60年代中期にいろいろなノウハウを蓄
積していく訳です。そんな中で一番重要なグループがThe Rip Chords。子役上が
りの所謂アイドルグループですが、歌も演奏も全然駄目なので、Bruce Johnston
とTerry Melcherの二人が寄ってたかって自分達でコーラスしたり演奏したり、
もちろん演奏はスタジオミュージシャンがやって。ほとんど本人達が介在しない
レコードの制作でいくつかのヒットを飛ばします。最も有名なのが「Hey Little
Cobra」という1963年の一作ですが、そのB面に入っています「The Queen」。そ
して1964年に、これはBruce Johnstonがリードボーカルを歌っている幽霊グル
ープでありますThe Kustom Kings。」

♪ The Queen
♪ In My '40 Ford

「今日おかけした曲は一曲もチャートインした曲がありません。前半全部モノラ
ルでしたし、物凄い一日でした。来週はもうちょっと一般的なプログラムを、ど
なたが聞いてもいいメロディだなというのが出てくると思います(笑)。」

「今日の最後は1曲ぐらいはチャートに入った曲で行こうと。元々にRip Chords
のために書いた曲ですが、Bruce JohnstonとTerry MelcherがPat Booneの為に
改作して提供しまして、1964年全米72位のスマッシュヒットでしたが、我々
Surfin' & Hot Rodのファンには永遠の名作として語り継がれる一曲です。」

♪ Beach Girl

今後の予定

・7/28も「Bruce Johnston特集 Part2」。
Bruce & Terry, Beach Boys, そして70年代。
・8月には「納涼リクエスト大会」
・8月末には竹内まりやさんを迎えて「納涼夫婦放談」
・次回の「わがリク」は秋口の予定。


circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


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