達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/5/12 Sunday Song Book「History of 山下達郎 (4)」



山下達郎/片想い 1991/6『Artisan』
山下達郎/You Make Me Feel Brand New 1986/12『On The Street Corner 2』*1
山下達郎/Get Back In Love 1988/4 Single, 1988/10『僕の中の少年』
山下達郎/寒い朝 1988/10『僕の中の少年』
山下達郎/蒼氓 1988/10『僕の中の少年』
山下達郎/プラスティック・ラブ (LIVE) 1989/11『JOY』*2
山下達郎/Endless Game 1990/4 Single, 1991/6『Artisan』
山下達郎/さよなら夏の日 1991/5 Single, 1991/6『Artisan』

*1 オリジナルはStylistics(1974年)。
*2 竹内まりや(1984年『Variety』)のカバー。1986/7/31 中野サンプラザでのラ
イブ。『Pocket Music』のツアーより。

内容

・ツアー

「いよいよツアーがラストスパート。26本終わりまして残り7本。本日と明日は
大阪フェスティバルホール。ツアーのしょっぱなの3月に大阪フェスで2日やりま
したが、2月ぶりに戻って参りました。日、月と変なスケジュールですが、大阪
の皆さんお待ち申し上げます。大阪は大都市で、またフェスティバルホールは民
間なので、今日は平日と同じ6時半スタートです。これが終わると木曜日16日に
中野サンプラザホール。寂しく一日だけ追加公演。前後に付けようと思ったので
すけど付かなかった。サンプラザのHPを見ていたら5/16は「山下達郎ファンクラ
ブの集い」。違うって!普通のちゃんとしたライヴです。書き直してもらわなけ
ればなりません。これが終われば残り4本。がんばって行きたいと思います。」

・Q&A

Q: ベースの伊藤広規さんは(今回のツアーで)ピックを使っていたのですか。

「基本的には全部指で弾く人です。ロック系のセッションではピックを弾く場合
で弾く場合もありますが、今回の私のステージでは100%指で弾いています。よし
なに。」

・History of 山下達郎

♪ You Make Me Feel Brand New

「前回は『Pocket Music』、1986年のアルバムで終わりました。これは私の音
楽生活の中で一番難産なアルバムでした。80年代の中期、音楽を取り巻く時代が
大きく変わりました。レコーディングはアナログからデジタルへ、パッケージメ
ディアはLPからCDへ、演奏も人間の手によるものからドラムマシーンやコンピュ
ータによる演奏、その上に乗って曲を作るという、音楽の作り方が革命的に変わ
った時代でございました。そういう時代の真っ只中で作ったのが『Pocket Music
』でした。それまでの自分のキャリアの延長で「俺はコンピュータなんか絶対に
やるか!人間がやるのが一番正しい」、今でもそういう方が居ますが、そうやっ
てやることもできたんですけど、何となくやっぱりこれはやっとかないと駄目な
のかなと。商業音楽ですので。それで始めたのがやり方が違っていまして、他の
それまでのYMOとかTMネットワークとか、ああいう所謂テクノなアプローチとは
全然違うアプローチ、自分でコンピュータを買い込んで始めちゃったので、ノウ
ハウが全然違うんですね。それで七転八倒して。私にとってのコンピュータの先
生が誰も居ませんので、一人で石積み上げるみたいにコツコツやっていたので、
時間がすごくかかってしまいました。2年以上かかりまして。でもあの時に七転
八倒したお陰で、90年代に入ってもコンピュータで音楽を作るというノウハウに
関してはある程度の知識があるお陰で、今でも現役でやってられる。人間何が幸
いするかわからない物であります。」

「その年の暮れに『On The Street Corner 2』を『1』より6年ぶりに出してお
ります。この6年間は一番ツアーをやっていた時期なので、毎年ツアー用に一人
アカペラを作っている。それが重なりまして『On The Street Corner 2』にし
ようかと。1986年12月発売。この後、自分のオリジナルアルバムが出るのが1988
年10月『僕の中の少年』。これも2年ぶりになります。どうしてこんなに開いて
しまったのかというと、間の1987年に竹内まりやの『Request』というのがあり
まして、これがまたかなり一生懸命作りまして、お陰様で売れたのですけど。こ
の『Request』がメガになりまして、私は二足の草鞋でまりやのプロデュースと
アレンジしながら自分のを創らなきゃならない。こっから先が自分のアルバムと
まりやのアルバムのインターバルがすごく空くんですけど。全部並べると実は結
構作っているんです。まあそういう話は来週にでも。という訳で『Request』を
挟んで2年ぶりのアルバム『僕の中の少年』の先行シングル、1988年4月発売「
Get Back In Love」。」

♪ Get Back In Love

「「Ride On Time」以来、8年ぶりのベスト10シングルです。ドラマの主題歌で
した。自分ではすごく愛着のあるバラードです。RCA/Air時代のおしまい、特に
『For You』の辺から山下達郎=リゾートミュージック、「海だ夏だ達郎だ」と
いう標語が出たぐらいでして。アップ、アップ、アップ、アップテンポの曲ばっ
かりシングル切り続けてきましたけど、バラードで初めてシングル切ってヒット
ソングになった曲です。自分でやりたくてそうしたんですけど、それが思い通り
の結果が出て、非常にうれしかったんです。」

♪(BGM) 寒い朝

「このシングルの余勢を買って同じ年に『僕の中の少年』というアルバムを出し
ました。このアルバムは山下達郎のリスナーの方に非常に愛着のある作品で、今
回のヒストリーでも沢山のいろんな方からリクエスト、しかもアルバムの中のい
ろんな曲のリクエストをいただいています。」

Q: なぜこのアルバムだけ日本語のタイトルなんですか?

「確かにこの一枚だけ日本語のタイトルなんです。Moonに移籍して、『Melodies
』、『Pocket Music』、これが自分で全曲作詞の3作目で、ちょうど自分の子供
が生まれて何年かしたところなので、そういう心境の変化が割とあったので、私
の作品の中で最も内省的な作品で。それまで日本のロックとかフォークとか必ず
アルバムが英語のタイトルで、まあそれはトレンドとかおしゃれ感とかそういう
のがあるんですけど、そうじゃなくて、フォークじゃないけど日本語のタイトル
のアルバムというのをやってみたかった。そういうようないろいろな理由があり
ます。」

「そんなわけで『僕の中の少年』は私にとって非常に思い入れの深い一作です。
今回このヒストリーをやってみて、今日これをマスタリングしながら、結構曲の
一つ一つが思い入れが深いなと思いました。特にこの中で一曲、自分にとって非
常に重要な曲があります。今でもJACCSカードのCMに使われています。」

♪ 蒼氓

「前半話が長くなってしまいましたが、それだけ思い入れがあるんですね、作品
に。だからまだまだかけたい所があるんですけど、これ一枚で今週終わってしま
いそうなので、急ぎ次の89年の『JOY』へ参りたいと思います。」

「『僕の中の少年』を出した後、89年の4月までツアーをやりまして。これが私
の人生の中でも一番体調が思わしくない時代でした。結構苦労してツアーをやっ
た思い出があります。その後に取り掛かったのがライブアルバム。それまでにシ
コシコ録り溜めていましたライブソース二百数十曲の奴を何ヶ月かかかって聞き
まして、ミックスダウンしまして、全21曲、140分、CD二枚組にまとめました。
1989年11月に出しました私のライブアルバム『JOY』。この中から竹内まりやの
曲のカバーを。」

♪ Plastic Love (LIVE)

「1989年に出したライブアルバムなので、すべて80年代の音です。80年代以前は
売れてなかったので、そんなライブソースを録る余裕はありませんでしたが。
81年から88年までのソースを集めたライブアルバム。したがって20代の終わりか
ら30代前半までのライブなので、ほとんど親の敵みたいに演っております。リズ
ムセクションは2/3は今と同じメンバーでありますので、今とほとんど音は変わ
っておりませんけれども、やっぱり若いのでイケイケであります。」

Q: 『JOY』の第二弾を出す予定はないのでしょうか?

「次のオリジナルアルバムを出したら、その次は『JOY 2』というのを出そうと
思っております。来年アルバムが出せれば、来年の暮れ、若しくは再来年のどこ
か、そんな感じです。その時に89年『JOY』をリマスターします。これはまだリ
マスターしてないで、デジタルレコーディングでそのままやった奴なので、まだ
もうちょっと音がよくなると思いますので、その時に合わせてリマスターして出
し直そうかななんて思っております。今度『JOY 2』を出すときには90年代ツア
ーの音源、「Sings Sugar Babe」、何回かやっているアンプラグドのライブ音
源とかがあるので、そういうものをごた混ぜで。『JOY』とはちょっと違った角
度からアプローチにして見ようかななんて。80年代の音源でもまだ死ぬほど残っ
てますので。さあ、どのぐらいになりますか。いっそのこと三枚組にしようとか
、口滑らすとすぐ本気にする方が居ますから。」

「ちなみに89年の暮れというのは、なぜか「クリスマス・イブ」が異常にヒット
しまして、オリコンでNo.1を取った時期でして、バブルの頭というかそういう時
期でございます。さて、1990年代に入ります。1990年4月のシングル「Endless
Game」。」

♪ Endless Game

「「Get Back In Love」の延長線上にありますけど、こちらはマイナーメロデ
ィでございます。僕はこの曲は割と自分では気に入っている一作です。この後、
一年ちょっと経ってしまいますが、1991年6月にアルバム『Artisan』が発売され
ます。今日は『Season's Greetings』まで行けると思いましたが、とんでもあ
りませんでした。やっぱり『僕の中の少年』と『Artisan』という二枚のアルバ
ムは自分にとって思い入れが非常に深いんですね。今回ヒストリーをやっててよ
くわかりましたけど。前回このヒストリーをやった時にはこのSunday Song
BookがSaturday Song Bookで始まったばかりで、『Artisan』の直後だったので
そんな具合に思いませんでしたが。今考えてみますと、今RCA/Air Yearsツアー
なんてやっていますが、はやり個人的にはRCA/Air Yearsより圧倒的にMoonに入
ってから以降の作品の方が自分としては愛着がある。なぜなら自分で全曲詞曲を
書いていますので。特に言葉の面で自分の思想信条というと口幅ったいですけど
、そういう所まで思い入れているという。あとコンピュータミュージックを使え
ば使うほど自分独りきりになってしまう、それだけ自分の世界へ入り込んでしま
う。そういう意味では個人的に圧倒的に思い入れがやっぱり深いんだなと今更な
がらに思いますが。」

「『Artisan』という90年代最初の私のアルバムは『僕の中の少年』とは打って
変わって、ほとんどコンピュータミュージック。結果論でそうなりましたけど、
それだけ作家主義というか。80年代の終わりに「クリスマス・イブ」が大ヒット
したので、作品的にちょっと精神的余裕が出たのかもしれません。今日は全部説
明できませんので来週少し補足しまして、その先『Season's Greetings』、そ
して90年代に行かせていただきたいと思います。今日の最後は1991年5月のシン
グル。『Artisan』の一月前に発売されました先行シングル。この曲も私にとっ
てとても思い入れの深い、愛着のある一曲です。すべてコンピュータでやってお
りますので、独りっきりの演奏ということもあると思いますが。」

♪ さよなら夏の日

・SSB500回記念プレゼント

1) アナログ9枚組『RCA/Air Years Box』10名
2) スペシャルボーナスディスク『Come Along』リマスターCD 10名
3) 『Big Wave』オリジナルアナログ盤 5名
4) 『僕の中の少年』オリジナルアナログ盤 5名
5) 「クリスマス・イブ」12インチ・ピクチャーレコード 3名
6) 竹内まりや「Plastic Love」12インチ、サイン入り 3名
7) 「9 Minutes of Tatsuro Yamashita」ピクチャー12インチ 1名
8) シュガーベイブ『Songs』エレック盤オリジナルアナログ盤 1名

応募先は〒102-8080 TOKYO-FM山下達郎サンデーソングブック
一人で50枚、100枚も応募するのは控えて欲しいそうです。

今後の予定

・5/19は「History of 山下達郎(5)」。
・5月になったら「棚つか Philadelphia Soul編」でも。
・夏になったらBruce Johnstonの特集を。


circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


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