達郎書き起こしプロジェクト by ロック軍曹とサーカスタウン

2002/4/21 Sunday Song Book「History of 山下達郎 (2)」



山下達郎/Blow 1992 Single c/w「アトムの子」
山下達郎/Circus Town 1976/12『Circus Town』
山下達郎/Last Step 1976/12『Circus Town』
山下達郎/素敵な午後は 1977/6『Spacy』
山下達郎/朝の様な夕暮れ 1977/6『Spacy』
山下達郎/Paper Doll(LIVE) 1978/5『It's A Poppin' Time』
山下達郎/Paper Doll 1978/12『Go Ahead!』
山下達郎/愛を描いて(Let's Kiss The Sun) 1979/10『Moonglow』
山下達郎/Ride On Time 1980/5 Single

一節
Circus Town
Last Stepのベースの声
素敵な午後は
(もう一度)Circus Town

内容

・ツアー

「この季節にツアーをやるのは久々なんですけど、この季節は陽気がいいので、
冬場のように喉の心配をしなくていいので楽だということが判明しました(笑)
。次からもこの辺の季節で行きたいなと思う今日この頃です。それはともかく
今週は明日浜松です。静岡周辺の方々お待ち申し上げます。それから木金、2526
と先週に続いてNHKホールがあります。NHKホール今回は4日間。サンプラザが追
加が出ましたので5日間。東京で9日間やります。NHKホールにおいでになる方、
お待ち申し上げております。」

・History of 山下達郎

 ♪Circus Town

「今回はツアーの途中ということもありますので、本当にレコードを中心とした
ストレートなヒストリーでお届けしようと思っています。今週は先日リマスター
再発しましたRCA/Air Years、23歳でソロになりまして29歳まで。まあ「Ride
On Time」ぐらいまでやれればいいかなという感じでございます。それでもこの
間CD再発してライナーノーツに詳しく書いてありますので、それを追いかけても
しょうがないので、今日はツアーをやっている中でご質問・お便りを頂きまして
、そういうところから掻い摘んでいきながら曲聞きながらという、ちょっと変則
的なヒストリープログラムですが、それで行きたいと思います。」

「まずは1976年のソロデビューアルバム『Circus Town』。A面がNYレコーディ
ング、B面がLAレコーディングというものなんですけど。ただいまお聞きいただ
いている「Circus Town」のクレジットについて女性コーラスが無いというご指
摘をいただきました。黒人3人女性グループのコーラスが入ってますが、クレジ
ットが遂にわかりませんでした。八方手を尽くして捜したのですが不明でありま
す。Unknownって書きゃよかったんですね。すいません。26年の時の流れは色々
と。あとハープの人。とっても上手な男の人だったんですけど、この人のクレジ
ットも八方手を尽くしたけれどもわからない。全7枚の中でもクレジットがはっ
きりしないのが若干あります。そういうのを敢えてUnknownにしないで割愛して
しまいました。すみません。よくそういうところをしかし、読んでらっしゃいま
すね。すごいですね。」

♪Last Step

「B面はアットホームな感じですが。コーラスをやっているのがドラムのJohn
SeiterとベースのKenny Altman、私の大好きなベーシストです。それとJerry
Yester。この人は現Modern Folk Quartetです。元Lovin' Spoonful。そして
AssociationのJim Yesterの兄弟です。コーラスアレンジャーとしては非常に有
名な人です。Jerry Yesterもしばらく会っていません。何をしているのでしょ
う。Modern Folk Quartetも最近来ませんね、来日。今の「Last Step」の場合
はKenny Altmanがベースをやっております。僕とJohn SeiterとJerry Yester
の三人でウーとハモっている。ローマ字で「dansingurizumuninori」と書いて
歌わせているという良くあるパターンです。今は懐かしい思い出であります。
Modern Folk Quartetが今度来たら一緒にやりたいなと思っていてもう十数年経
ってしまっています。Kenny Altmanはちなみにケータリングの会社を経営して
おりまして、「We Are The World」の時のケータリングはKenny Altman。ベー
ス弾きゃあいいのになあ。なかなかアメリカもショウビズは非情でありますが。
そういう余談とともに思い出がありますが、もう今から26年も前のことになりま
した。」

「この生まれて初めてのアルバムをどうして海外レコーディングすることになっ
たかは、このアルバムのライナーに詳細に示してあります。この時ソロのプロジ
ェクトでアメリカでやったノウハウを生かして、日本に帰ってきて翌年1977年に
セカンドアルバム『Spacy』でいろいろと実験をしつつ、トライアンドエラーを
繰り返しながら20代を進んでいく訳でございます。」

♪素敵な午後は

「これはライナーでもやりましたが、この間の「棚つか」のChicago Soul編で
散々やりましたChicagoのRhythm & Bluesをやりたくて作った曲です。跳ねた、
スウィングしたビートで、♪〜とこれは循環コードといいまして、「Circus
Town」と同じCのキーです。「Circus Town」はNYスタイルで跳ねません。♪〜
若干微妙に色合いが違いますけれが、まあ余談でございます。今聞きながらクレ
ジットを見ておりましたら、ドラムは村上"PONTA"秀一さんで、細野(晴臣)さん
のベースと、松木恒秀さん、大村憲司さん、佐藤博さんとずっと並んでおります
けれども。ギターの大村憲司さんは亡くなっていらっしゃいませんですし、それ
からバリトンサックスの砂原俊三さん、日本を代表するバリトンサックスプレイ
ヤーだったんですけど、この方ももういらっしゃいません。ストリングスのコン
サートマスターの多(忠明)さんももう他界されておりません。ちょっとクレジッ
トを見るだけで鬼籍に入られた方が沢山いらっしゃいます。25年という時間の流
れというのはそういうのも生んでしまいますけども。そういう思い出とともに有
りますが。」

「このセカンドのアルバムで後の自分にとって非常に重要な作品がB面の、一連
の割とこう内省的な流れであります。特に「朝の様な夕暮れ」というのは一人ア
カペラの一番最初に作品化したものの一つでありまして、これが無ければ後の『
On The Street Corner』も無かったという、非常に重要な作品であります。こ
の間のRCA/Air Yearsの時にもかけたかもしれませんが、まあいいでしょう。」

♪朝の様な夕暮れ

「前半のピアノの弾き語りは朝の4時半でして、何が朝の様な夕暮れだという感
じでございますが(笑)。」

「次のオリジナルは1978年の年末に『Go Ahead!』というのを出しますが、その
間にライブ・アルバムが一枚あります。78年というのが私にとって一番売上が低
迷した時期でありまして(笑)。シングルは1978年の春に一枚作るんですけれども
、売れないといってレコード会社の編成でボツになりました。それが「Paper
Doll」という曲でありまして、そのテイクは後の『Go Ahead!』に入りますが、
それよりも前に出た『It's A Poppin' Time』、3枚目のアルバムですがこれが
ライブ・アルバムで、こちらの方のテイクが先に出てしまいました。レコーディ
ングの時系列としては『Go Ahead!』の方が先なんですけど、世に出たのはこち
らのライブバージョンの方が先という結果になってしまいました。この「Paper
Doll」という曲は元々やっぱりこれもChicagoのRhythm & Bluesみたいな曲を作
りたくて、そういう循環コードで作った曲です。このライブバージョンでの松木
恒秀さんのギターはもろPhil Upchurch。この頃の松木恒秀さんはEric Gale命
の人だったんですけど、やっぱりなんか呼応するんでしょうね。バイブレーショ
ンがこう共鳴するというか。もろPhil Upchurchの素晴らしいギターソロであり
ます。」

♪Paper Doll (LIVE)

「Phil Upchurch風と申しましたが、やっぱりギターソロはEric Galeクローン
の松木さん(笑)、素晴らしいギターソロでございます。」

「1978年暮れに出た4枚目のアルバム『Go Ahead!』。この頃が一番底でござい
ます。もうこれできっとソロアルバムできないかな。それでちょっとそれまでと
は違いまして、作家的アプローチでいろんな曲調が入っております。それはライ
ナーノーツに沢山書いてありますけど。今日は先ほどお聞きいただいた「Paper
Doll」、先ほど申し上げましたみたいに、こちらのスタジオバージョンが先にレ
コーディングされましたが、発売は後になりました。」

♪Paper Doll

「先ほど申しました通り、これはシングル用でレコーディングされたんですけど
、売れないといわれてボツにされました。今も昔も若い人の才能を理解しない、
例えばレコード会社の宣伝とか制作のシフトというのは大して変わらないんです
よ。そういう権威に弱いと申しましょうか。この「Paper Doll」がボツられた
時に、RCAの外国人の出版担当のイギリス人がいまして、この曲はいい曲だ、イ
ギリスで出したら売れるって言われましたけど。それを宣伝のセクションは笑っ
て見てるだけでしたけど。もう、今も昔も変わりません。そういう記憶が蘇りま
した。」

「先日のこのRCA/Air YearsのSSBの特集でも申しましたが、『Go Ahead!』に入
っておりました「Bomber」というのが大阪で凄く売れまして、ここから流れが変
わって参りました。元々Black Musicが好きだったのでそうした16ビート物をラ
イブでやっている内に段々段々動員が良くなって参りました。シングルをほとん
ど考慮しないでアルバムずっと作り続けてきたんですけど、そろそろブレイクが
近い!と、79年になりまして、シングルを作れ!それまでの方式じゃなくて、ヒ
ットを狙って作れ!そんなことを言われたってわかりませんよ。それで作ったの
が「Let's Kiss The Sun」という1曲で、『Moonglow』に収められていますが
、先行シングルとして出ましたが、HOT100に入ってございません。でも当時はコ
ンサートやライブをコンスタントに始めた時期だったので、山下達郎ファンには
ご愛好いただいている作品であります。」

♪愛を描いて

「いわゆるまともなシングルとしてはこれが最初です。」

「今日のRCA/Air Yearsを聞いてて思い出しましたが、私がシュガーベイブでデ
ビューした頃というのは丁度オイルショックで、1976年にRCAレコードは新入社
員を二人しか取りませんでした。私がソロデビューしたのはそういう時期で、不
況という意味では今と大して変わりません。ヒット!ヒット!ヒットが出ない奴
は2年でクビという時代でありました。それにいかに反抗してやるかという、そ
ういう歴史だったような自分の記憶を思い起こしてしまう。そういう意味では今
の若い人達と全く同じようなスタンスで自分もやってきたんだなと、なんか聞き
ながらしみじみした気分になってしまいました(笑)。若いミュージシャンの諸君
、頑張ってやって下さい。」

「80年に入って、アルバムがちょっとよくなってきて、コンサートの動員もよく
なってきて、勝負時だ!と勝負に出たシングルが初めてチャートイン、しかもベ
ストテンに入るという。なんか使用前/使用後みたいに人生が急に変わった、80
年の私にとって記念すべきシングル。」

♪Ride On Time (Single Version)

・RCA/Airリマスター盤発売記念プレゼント

(1)2002/2からのカレンダー20名(ツアースケジュール入り)
(2)「Loveland, Island」ポスター20名
(3)スペシャルダイジェストプロモ盤CD10名
(1)〜(3)はすべてサイン入り。

4/28に当選者発表予定。5/5にずれ込む可能性あり。

今後の予定

・4/28以降も引き続き「History of 山下達郎」。
4/28はRCA/Air Yearsの後半からMoon Yearsの80年代。
5/5は90年代。以上を予定。
・5月になったら「棚つか Philadelphia Soul編」でも。
・夏になったらBruce Johnstonの特集を。


circustown.net による放送書き起こしです。文責 circustown.net。抜け誤りはお知らせください。


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